経営の健全性・効率性について
過去5年間の経常収支比率は、いずれも100%を上回っており近年は健全な経営であるといえる。累積欠損金比率は、累積欠損金が発生していないため0%であり、健全な経営であるといえる。流動比率は、100%を上回っており短期債務に対する支払能力は確保されている。企業債残高対給水収益比率は、類似団体平均値を上回っており給水収益に対する企業債残高の規模が類似団体より大きいといえる。これは、老朽管更新や管網整備等を計画的に実施しているためと考えられる。料金回収率は、H27を除き100%を上回っており給水に係る費用を水道料金で賄えていることを表している。H27については、給水に係る費用が水道料金以外に他の収入で賄われている。引き続き費用削減が必要である。給水原価は、概ね130円前後で推移し類似団体平均値を下回っており、低い水準であるといえる。理由として、類似団体と比較して良好な水源や電力消費量が少ない水道システム等が挙げられる。施設利用率はH26およびH30を除き類似団体平均値を下回っている。主な要因として給水人口の減少、節水型機器の普及および節水意識の高まりなどによる使用水量の減少に伴い、年間総配水量が減少していることが挙げられる。H30については、全体の施設能力を見直したため、施設利用率は大きく変化している。有収率は、類似団体平均値を10ポイント程度下回っている。原因の多くは漏水であり、漏水の原因は老朽化した配水管などが挙げられる。今後も老朽化した施設及び管路の更新等を計画的に行い、漏水防止対策を進めていく必要がある。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は、類似団体平均値を下回っているものの上昇傾向にある。施設全体の老朽化が進みつつあり、今後の計画的な更新が必要である。管路経年化率は、類似団体平均値を下回っているものの上昇傾向にある。近年、法定耐用年数を超過した管路延長が増加しており、今後の計画的な更新が必要である。管路更新率は、H26およびH28を除き類似団体平均値を下回っている。経年化により不具合が生じている管路、漏水が多い管路および耐震性の低い管路を主な対象として、引き続き管路の更新を進めることが重要である。本市は6つの浄水場と起伏のある複雑な地形に対応するため多くの配水池やポンプ場を保有していることから、管路だけではなくそれらの水道施設についても、耐用年数や施設の老朽化度合、運転状況等を踏まえて計画的に更新を行う必要がある。
全体総括
経営の健全性は概ね良好に維持しているものの、施設の効率性の向上に努める必要がある。人口減少社会に突入し、本市の給水人口も減少することが予想されている。給水人口は水道の使用量と料金収入に密接に関係しており、給水人口が減少することは、今後の水道事業運営に大きな影響を及ぼすことが想定される。水道施設の老朽化が進みつつあるが、老朽施設の更新や耐震化には多額の費用が必要となることから、計画的かつ効率的な事業を行うなど経営効率化の取り組みを一層強化する必要がある。加えて料金については、安定した給水サービスの対価であるとの認識の上、お客さまの必要とする水需要に対する要望を充足できるように適正に定められ、次世代に負担を先送りしない水準を検討する必要がある。本市の水道事業ビジョンおよび経営戦略に基づき、水道施設の強靱化や経営基盤の強化に取り組み、将来にわたり安全で安心できる良質な水道水の安定供給を確保し、使用者の皆様により一層安心して使用していただける水道を目指します。