経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は121.34%で、類似団体平均値を大きく上回っており、現時点では良好な経営状況であると言えます。③流動比率については、類似団体平均値を上回り大幅に上昇していますが、建設改良工事(大中地区(第1工区)基幹管路布設替工事)に繰越が生じたことにより、一時的に流動資産に増加要因が生じたためです。今後、施設の更新に伴い、資金の流出が進むため低下していく見込みです。④企業債残高対給水収益比率については平成12年度以降企業債の借入を行っていないため、数値は類似団体平均より大幅に低くなっていますが、令和元年度より老朽管の更新等に、企業債の借入を行う予定で、数値は上昇する見込みです。⑥給水原価については、企業債利息の減少等により類似団体平均よりも低くなっており、⑤料金回収率も120.22%で、現時点では必要な経費を料金で賄えている状況です。しかし、今後老朽施設の更新事業を実施していく中で、減価償却費は増加し、企業債の借入に伴う支払利息の増加等により、数値は大幅に悪化することが予想されます。⑦施設の利用率については、類似団体と比較しても低位にあり、能力の半分も利用していない状況です。節水機器の普及等により水需要は低迷しており、長期的には人口減が予想されていることから、今後さらに低下する恐れがあり、適正な規模に施設を見直す必要があります。⑧有収率は高い数値にありますが、これは計画的に石綿管や鉛給水管の布設替を行ってきたことに伴い、漏水が減少したことによるものです。しかし、人口急増期に集中して布設した配水管の老朽化が進んでおり、今後漏水が増加する可能性があり、有収率も悪化する恐れがあります。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は類似団体と比較して、高い状況にありますが、浄水施設や取水施設(深井戸)、導配水設備などの老朽化が進んでいることによるもので、資産の長寿命化を図りながら、計画的に更新を行う必要があります。②管路経年化率については、人口急増期の昭和50年代に集中的に布設した配水管が法定耐用年数の40年を経過し始めたことから一気に上昇しており、今後もその傾向が続く見込みです。③管路更新率については、類似団体平均値を下回っていますが、今後老朽化した基幹管路を中心に計画的に更新を行っていく予定です。なお、今年度は0.00%となっていますが、これは建設改良工事(大中地区(第1工区)基幹管路布設替工事)に繰越が生じたことによるものです。
全体総括
短期的には経営上大きな問題はありませんが、長期的にみると、人口減による給水収益の減少、施設の老朽化に伴う更新費用の増加などで経営の悪化が見込まれます。特に、昭和50年代に集中整備した配水管については、法定耐用年数を経過し始めていますが、耐震性の低いものが多いことから、計画的な更新を行うための体制整備と財源確保が課題となります。平成28年度に監査法人に委託し実施したアセットマネジメント(マクロマネジメント)及び財務分析、さらに、平成29年度に建設コンサルタント委託し実施したアセットマネジメント(ミクロマネジメント)を踏まえ、平成30年度に経営戦略を策定しました。今後は、老朽施設の更新にかかる財源等を確保するため、経営戦略に基づき、水道料金の改定についての検討を行い、将来に向けて安定した持続可能な経営基盤の構築を目指します。