経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、退職給付費や配水管移設工事等の減少に伴う営業費用の減少により5%強上がり100%を上回っており、累積欠損金も発生しておりません。料金回収率については、営業費用の減少により給水原価が約9円下がったため6%強上がっており、健全な水準を維持できています。ただし、給水原価が類似団体平均値を大きく下回っているのは、平成26年度からの会計制度改正により積算方法が変更されたことの影響が大きく、現金を伴わない収益科目である長期前受金戻入分が、財務諸表上では収入の増となっていますが、現金を伴わないために、実態としての経営状況が改善されたとは言えません。ゆえに、経営状況を判断する際には、注意が必要です。流動比率については、前年度より40%弱上がっており、これは、現在進めている施設及び管路の更新事業規模や企業債の借入額が減少したのが主な原因です。ただし、平成30年度は第六次配水管整備事業の最終年度と第七次配水管整備事業の初年度が重なった年度であり、第七次については工事を行わず次年度工事分の設計を行うのみに留まったため事業費及び企業債の借入が減少したにすぎません。更新事業は今後も行う必要があるため、あくまで一時的な値の上昇と捉えることが重要です。有収率については、再任用職員による漏水調査を行っていること等もあり、類似団体平均値を上回り、良好な数値となっています。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は右肩上がりで、類似団体平均値を上回る数値となっています。管路経年化率についても、平成27年度より右肩上がりとなっており、法定耐用年数を経過した管路を多数保有している状態であるため、管路の更新が必要であると言えます。管路更新率は、先に述べた様に平成30年度は第六次配水管整備事業の最終年度と第七次配水管整備事業の初年度が重なったため、平成29年度から0.9%弱下がっており、類似団体平均値も下回っています。
全体総括
平成30年度時点での経営の健全性・効率性は概ね良好であるといえますが、人口の減少や節水型の給水機器の普及に伴う水需要の減少により、給水収益は右肩下がりを続けています。しかし、そういった状況の中でも、老朽化した管路や施設の更新、耐震化を行っていくことは危機管理の観点からも早急の課題です。そして今後さらなる更新投資の増加が考えられるため、当面の事業は地方債等を財源として取り組み、更新を進めていきます。また、平成30年度から令和元年度までの2か年に渡り料金体系を含めた料金収入について検討を行うために「藤井寺市水道事業経営審議会」を設置し、事業を継続的に安定して行うための審議をお願いしています。大阪広域水道企業団との統合についても引き続き検討を進めることで、長期的に安定した水道事業の経営の実現を目指します。