経営の健全性・効率性について
平成20年度に策定した「柏原市水道ビジョン」に基づく事業運営は、平成30年度が最終年度となります。近年の①経常収支比率は100%を超え、全国平均及び類似団体平均値を上回っています。また、②累積欠損金比率についても0%を維持していることから、事業として黒字経営を継続し、収支は健全な状態となっています。①経常収支比率は、平成29年度に比べて約2.5%増加しています。これは、給水人口の減少や節水意識の向上等による使用水量の減少により給水収益は減少していますが、使用水量の減少、大阪広域水道企業団からの受水と比べ安価な自己水の確保及び計画的に行っている修繕の減少により費用が減少したことによるものです。④企業債残高対給水収益比率は類似団体平均値と比べ、大きく下回っております。これは効率的な下水道事業工事との随伴工事による管路更新を行うことによって路面復旧費等を削減し、可能な限り企業債に頼らず、下水道事業からの工事負担金や自己財源により事業を進めてきたことによるものです。⑤料金回収率は、平成29年度と比べ修繕費の減少により給水原価が減少したため約3.1%増加し、全国平均及び類似団体平均値を上回っています。⑦施設利用率は、平成30年度は約1.1%減少し、全国平均及び類似団体平均値を下回っており、今後はダウンサイジング等による施設規模の最適化について検討を行う必要があります。
老朽化の状況について
管路の更新について、平成30年度では地震に強い耐震適合管で3.5kmの更新・整備を行い、管路総延長約257㎞のうち約104㎞が耐震化され、耐震適合率は約40.6%です。この結果、③管路更新率は平成29年度に比べ約0.1%減少しており、②管路経年化率も平成29年度と比べ1.1%減少しております。しかしながら、この指標につきましては全国平均及び類似団体平均値を大幅に上回っており、法定耐用年数を経過した管路を多数保有している状況です。管路の老朽化対策は、本市においても従前より最優先課題として取組んでおり、過去の漏水状況等を勘案して更新の優先順位を設定し、効率的かつ効果的な布設替えを進めています。さらに、主要な本管の更新を進め、有収率の向上及び維持管理に努めています。
全体総括
平成30年度決算におきましても当年度純利益を計上できておりますが、給水収益は減少し続けております。また、管路や施設の老朽化は進んでおり、管路等の更新費用は近年増加傾向となっております。このような状況を踏まえた上で、本市では、平成31年4月からの計画となります水道事業ビジョン及び実施計画に基づき、新たに検討しました施設の統廃合やダウンサイジング等により、維持管理費を削減し、また同時に事業規模に合わせた更新費用の平準化に取組み、持続可能な事業を進めてまいります。投資財源については、積立金の利用や内部留保資金とのバランスに留意しつつ、将来負担の公平性を考慮した企業債の借入について引き続き検討してまいります。