経営の健全性・効率性について
旭市の経営状態は、経常収支比率・流動比率において、類似団体や全国平均と同等若しくは高い水準で推移しており、累積欠損金もなく良好な経営を維持しています。ただ、企業債残高対給水収益比率については、類似団体や全国平均よりも低い水準で推移していますが、今後、資産の更新時期を迎えることから割合が高まる可能性があります。料金回収率については、類似団体や全国平均よりも高いものの県下でも高い料金体系であったので、平成30年度には料金改定を行って減少しています。また、施設利用率は、近年、増加傾向が見られて類似団体や全国平均よりも高い状況で、有収率は、類似団体や全国平均よりも高い割合で推移しているものの、近年は、減少傾向の兆候が見られます。給水原価については、217.67円と類似団体や全国平均よりも高い水準となっていますが、旭市の地理的な要因から受水に依存しており、平成30年度決算で経常費用に対する受水費の割合は約62%を占めている状況です。県の基準給水原価よりも給水原価が高いことから、平成30年度に基準外ではありますが一般会計から繰入を行っています。
老朽化の状況について
旭市の水道事業は、合併前の旧1市3町すべてで昭和56年から給水を開始していて、現在、配水管の耐用年数を経過している管はありませんが、あと数年で耐用年数を迎え始めます。現在、実施している配水管の更新工事は、道路工事等に伴う配水管の切廻しや漏水が多かった箇所の配水管の布設替となっていて、類似団体や全国平均よりも低い状況です。しかし、有形固定資産減価償却率は、類似団体や全国平均よりも高い状況で、施設全体として更新時期を迎える資産が、今後、多くなってくることが推測されます。
全体総括
経営状態については、良好な状態を維持しているものの給水原価の高さが課題となっていて、平成30年度に一般会計から基準外の繰入を行いました。現在、旭市の取り組みとしまして、水道の加入促進をしながら普及率の増加を図る一方で、災害対策として、海上配水池耐震補強工事の繰越事業及び岩井・三川地区配水管布設工事(相互連絡管整備事業)の3か年事業が平成30年度に終了しました。また、旭市水道ビジョンが、平成23年度からの10か年計画であることから、今後の旭市水道事業が目指すべき指針を定めるため、平成30年度から2か年事業として、「旭市水道事業ビジョン」及び「旭市水道耐震化計画」から成る旭市水道事業長期計画の作成を始めています。