経営の健全性・効率性について
「①経常収支比率」は、平成30年度に営業費用が増加したこと等により悪化しましたが、その後は給水収益及び加入負担金の増により改善し、令和2年度については、新型コロナウイルス対策としての6カ月減免にかかる県営水道料金の3か月免除等による受水費の減少や一般会計からの繰入金による営業外収益の増等により、更に改善しています。「⑤料金回収率」はコロナウイルス対策の6カ月減免により供給単価が大きく減少しており、県営水道の減額による受水費の減等で「⑥給水原価」も減少していますが、供給単価の減少の幅が大きく⑤については悪化、⑥については改善となっていますが、一時的な影響によるものです。「⑧有収率」は、近年、計画的に漏水調査、修繕を実施したことから類似団体を大幅に上回っています(令和2年度92.4%)。「④企業債残高対給水収益比率」は類似団体を下回っています。これは、これまで建設事業に伴う企業債の発行額が少なかったことによるものです。今年度の増加については、給水コロナ対策減免に伴う給水収益の減少が大きく影響しています。「②累積欠損金比率」「③流動比率」共に類似団体平均と比較して悪い数値ではありませんが、今後は、水需要減少による給水収益の悪化や施設の更新需要の増大により、比率は徐々に悪化していくことが懸念されます。
老朽化の状況について
「①有形固定資産減価償却率」については類似団体平均を上回っています。これは固定資産の減価償却が進んでいることを示しており、「③管路更新率」にあるとおり近年、配水池・ポンプ場の建設があったため、投資の平準化による管路更新投資の抑制に伴い比率が上昇したことによります。市内には依然として塩化ビニル管などの非耐震管が残っていることから、今後計画的に耐震管への更新を行っていきます。施設の更新については、平成28年度に策定したアセットマネジメント(施設の更新計画)に基づいて、優先順位の高い施設から順次計画的に更新を行うとともに、費用が一時期に集中しないように更新事業の平準化を図っているところです。
全体総括
水道事業を取り巻く環境は、人口減少や節水意識の向上により厳しさを増し、またコロナウイルス感染症による今後の事業経営への影響も懸念されるところです。今後、老朽化した施設が順次耐用年数を迎えることから、施設の更新、耐震化が今後の課題となっています。しかしながら、市内全域にある施設の更新、耐震化には多額の資金が必要となります。収益の大幅な増加は見込めないことから、施設をこれからの人口に見合った規模にダウンサイジング(統廃合)し、維持管理費などの経常経費を削減することで、財源の確保を図っていく必要があります。今後は、平成28年度に策定した加西市水道事業経営戦略に基づいて、なお一層、経営の効率化を図っていきます。