経営の健全性・効率性について
①経常収支比率:単年度収支は黒字となり、給水にかかる費用が給水収益で賄われていると考えられる。令和2年5月施行の料金改定も収益性の安定に繋がっていると考えられる。③流動比率:昨年度比約40%減となっているものの、300%を超えており、短期債務の支払能力はあると考えられるが、今後予測される耐用年数を超えた管路など保有資産の更新に係る建設改良費の増加による将来的な流動資産の減少が懸念されることも含め、営業収益、流動負債の増加要因となる建設改良企業債等も注視していく必要がある。④企業債残高対給水収益比率及び⑤料金回収率については、新型コロナウイルス感染症拡大に係る措置として、水道料金基本料金を減免したことによる給水収益の減少が原因となっているが、一般会計から繰り入れられた補助金を鑑みると、企業債残高給水比率は改善し、料金回収率は昨年度と同様の数値であった。しかしながら、今後増加が予測される更新費用を見据え、新規借入れを行いつつ計画的な財源確保に取り組む。⑥給水原価:他団体と比べて低い数値となっており、給水にかかる費用は少なく抑えられている。⑦施設利用率:安定的な既存施設の能力規模を維持していると考えられ、今後も効率的な利用に努める。⑧有収率:有収率は類似団体平均をわずかながら上回っており、昨年度よりも数値は改善している。漏水調査や修繕工事を行い、引き続き配水量が収益に結び付くよう努める。
老朽化の状況について
①有形固定資産償却率は50%を超えており、全体の保有資産の半分以上に償却が進んでいると考えられるものの、資産別では、施設建物やそれに係る設備に減価償却率が高く、配水管などを含む構築物では減価償却率は経年管更新により改善している。②管路経年化率:経年管更新の影響により、平均値よりも数値は低くく、徐々に改善している。③管路更新率:昨年度比1%程度数値が改善しており、平均値以上の数値ではあるものの、今後も法定耐用年数を超えた管路更新事業を推進していくことは重要と考える。
全体総括
単年度の収支が黒字を示す経常収支比率は100%以上が続いており、短期的な債務に対する支払能力も有していると考えられる。また、比較的安価な給水原価で既存施設の能力を効率的に利用し、給水収益につながるよう効率性も発揮され、累積欠損金もないことから、経営に関しては概ね良好な状況と考えられる。しかしながら、有形固定資産減価償却率から、今後水道設備や配水管の更新事業に必要な資金を確保していくことは継続的な課題であり、将来的に給水収益の増収も厳しいと予測される中、中長期的な事業計画と財政計画に従いつつ、水道施設等の維持管理及び施設の更新を継続できるよう健全な水道事業経営に努める。