経営の健全性・効率性について
①経常収支比率が対前年比△12.57%の下落を見せているが、これは令和2年4月からの受水単価上昇に伴う営業費用の増加が主な要因である。②累積欠損金は無い状態だが、一般会計からの基準外繰出金に頼っている状況にある。①②のことから、給水収益の強化を図り、経営健全化に向けた取組が必要である。③流動比率④企業債残高対給水収益比率については、起債償還のピークは過ぎたものの、依然として残高が多く、水道事業会計を圧迫している状況にある。今後の償還額減少に併せ、管路更新による新たな起債についても、優先度の高い施設を選定することで、③④の比率改善を図る。⑤⑥料金回収率が対前年比△9.05%の下落を見せているが、これは受水単価上昇に伴う給水原価の上昇が要因である。給水原価に対する費用は経常的経費が主であり、削減が難しく、改善するためには経費上昇分を料金に転嫁し、供給単価を上げる必要がある。⑦施設利用率が低い状況から、施設の見直しやダウンサイジングにより、適切な施設規模に改善することで、経営基盤の強化を図る。⑧平成28年度に有収率が低下しているが、これは熊本地震に伴う漏水及び減免によるもの。その後、地震前の水準まで戻りつつあるが、水道管の老朽化に伴う漏水が増えてきている状況にある。
老朽化の状況について
水道管については、年々老朽化が進んでおり、漏水による緊急的修繕が増加している状況にある。また、配水池や浄水場などの水道施設も老朽化が進んでおり、大規模な改修や修理が必要な時期である。令和2年度に策定したアセットマネジメント計画に基づき、合理的かつ計画的な更新、改修を予定している。
全体総括
今後の給水人口減少に伴い、給水収益の減少が見込まれる。一方で、水道施設の老朽化が進み、施設更新費用が増加することから、現状維持では水道事業の経営悪化が予想される。このため、平成31年4月に上水道事業と簡易水道事業の会計を統合し、経営の健全化促進と経営基盤の強化を図った。しかし、令和2年4月からの受水単価上昇に伴う営業費用の増加により、経営状況は悪化し、経営の合理化だけでは事業改善は困難な状況にある。今後、計画的な水道施設の更新や長寿命化を図るとともに、これらの経費に対する適切な収入を得るため、料金体系の見直しに向けた取組を進めている。