経営の健全性・効率性について
【経常収支比率】令和元年度の経常収支比率は、102.97で前年度より0.31ポイント上昇しましたが、類似団体平均を6.04ポイント下回っています。今後、人口減少等により給水収益の増収が期待できない中、多額の費用を要する老朽化施設への対応など厳しい経営環境が見込まれますが、経常収支比率の維持・向上をめざし、引き続き各業務の見直しを重ねるなど、経費の節減に取り組んでいきます。【累積欠損金比率】累積欠損金比率は、平成27年度以前から長年にわたり0%を維持し、累積欠損金は発生していません。今後、多額の費用を要する老朽化施設の更新等により、減価償却費や支払利息の増加による利益剰余金の減少が見込まれますが、引き続き欠損金を発生させることのないよう、健全経営に努めます。【流動比率】令和元年度の流動比率は、172.76で短期的な債務を賄える支払能力が十分にある状態でありますが、類似団体平均より192.42ポイント下回っています。今後、多額の費用を要する老朽化施設の更新等により流動負債が増加し、流動比率は減少傾向で推移することが見込まれています。【企業債残高対給水収益比率】令和元年度の企業債残高は、建設改良事業の実施による企業債の発行に伴い、前年度より25.29ポイント上昇し、類似団体平均より266.01ポイント上回っています。今後、多額の費用を要する老朽化施設の更新等の実施により企業債の更なる発行が見込まれています。【料金回収率】令和元年度の料金回収率は、経費節減に努めた結果、前年度より1.25ポイント上昇し、類似団体平均を0.5ポイント上回っています。今後、人口減少等により給水収益の増収が期待できず、厳しい経営環境が見込まれますが、料金回収率100%以上を達成すべく、各業務のさらなる見直しによる経費の節減に努めます。【給水原価】令和元年度の給水原価は、経費節減に努めた結果、前年度より2.31ポイント低下し、類似団体平均を10.07ポイント下回っています。今後、多額の費用を要する老朽化施設の更新等により、減価償却費や支払利息の増加による給水原価の増加が見込まれています。【施設利用率】令和元年度の施設利用率は、配水量の減少に伴い、前年度より1.01ポイント低下し、類似団体平均を9.58ポイント上回っています。今後は、人口減少の進行や節水機器のさらなる普及等により、施設利用率の低下が見込まれています。【有収率】令和元年度の有収率は、前年度より0.27ポイント低下し、類似団体平均を12.56ポイント下回っています。今後も引き続き、管路の漏水調査を行うとともに、必要な管路の修繕・更新等の漏水対策を計画的に行い、有収率の向上に努めます。
老朽化の状況について
【有形固定資産減価償却率】有形固定資産減価償却率は、近年、類似団体平均より低い水準で推移していますが、平成29年度以降増加傾向にあり、水道施設の老朽化が進行していることを示しています。今後も引き続き、水道施設再構築計画に基づき、老朽化施設の計画的な整備に取り組んでいく予定であります。【管路経年化率】令和元年度の管路経年化率は、前年度より19.57ポイント上昇し、類似団体平均を13.04ポイント上回っています。これは昭和50年代に布設した管路が法定耐用年数を迎えたためで、今後も増加傾向にあります。今後も引き続き、漏水調査等の実施により、緊急性の高い管路から順次、計画的に更新を行っていく予定であります。【管路更新率】令和元年度の管路更新率は、前年度より0.29ポイント低下し、類似団体平均を0.21ポイント下回っていますが、法定耐用年数の40年を超えているか又は間近に迫っている管路が増加傾向にある中、必要な管路から計画的に更新を行っていく必要があります。今後も引き続き、漏水調査等の実施により、緊急性の高い老朽管路から順次、計画的に更新を行っていく予定であります。
全体総括
昨今の人口の減少や節水型機器の普及などにより、給水収益は減少傾向にありますが、一方、多額の費用を要する導水管更新事業や浄水場等の老朽化への対応など、水道事業を取り巻く経営環境はますます厳しさを増しています。このような中、将来にわたり水道事業の維持、安定的な運営を図るべく、水道施設再構築計画に基づく施設の整備等を視野に入れながら、今後も引き続き各業務の見直し・効率化による経費の節減に取り組み、経営基盤の強化に努めてまいります。