経営の健全性・効率性について
①経常収支比率、⑤料金回収率:どちらも指標が100%を超えており、単年度収支は黒字、給水にかかる費用が給水収益で賄われていると考えられる。また、①の指標については、2年連続類似団体平均値を超えており、平成31年1月施行の料金改定が収益性の安定に繋がっていると考えられる。③流動比率:380%を超え、短期債務の支払能力は高まり、類似団体平均値と比較しても乖離は解消されているものの、今後予測される耐用年数を超えた保有資産及び管路の更新にかかる建設改良費の増加による将来的な流動資産の減少が懸念されることも含め、営業収益、流動負債の増加要因となる建設改良企業債等を注視していく必要がある。④企業債残高対給水収益比率:給水収益に対する企業債残高は減少傾向であるものの、今後増加すると予測される施設老朽化等による更新費用を見据え、企業債残高を減らしつつ、新規借入れを行うことで財源確保に取り組む。⑥給水原価:他団体と比べて低い数値となっており、給水にかかる費用が少なく抑えられている。⑦施設利用率:平成29年度の簡易水道事業統合以降、安定的な既存施設の能力規模を維持していると考えられる。今後も効率的な利用に努める。⑧有収率:有収率は類似団体平均を下回り、昨年度よりも数値が悪化した。しかしながら、漏水調査及び修繕工事を行い、引き続き配水量が収益に結び付くよう努める。
老朽化の状況について
①有形固定資産償却率は50%を超えていることから、全体の保有資産において、半分以上に償却が進んでいると考えられるものの、資産別では、施設建物やそれらに係る設備に減価償却率が高く、全体的にも継続的に他団体平均値を上回っていることから、法定耐用年数に近い資産が多いことを示している。②管路経年化率:平均値よりは低いものの、数値は徐々に上昇している。これは昭和50年代の拡張事業により布設した管路が、法定耐用年数を同時期に迎えたためである。③管路更新率は昨年度と比較すると0.23%高く、他団体平均値以上の数値ではあるが、今後も法定耐用年数を超えた管路更新事業を推進していくことは重要と考える。
全体総括
単年度の収支が黒字を示す経常収支比率は100%以上が続いており、短期的な債務に対する支払能力も有していると考えられる。また、安価な給水原価で既存施設の能力を効率的に利用し給水収益につなげており、効率性も発揮され、累積欠損金もないことから、経営に関しては概ね良好な状況と考えられるものの、有形固定資産減価償却率や管路経年化率から、今後水道設備や配水管の更新事業に必要な資金を確保していくことは重要課題であり、給水戸数も微増ではあるものの、節水機器の普及等で有収水量は減少傾向であり、給水収益の増収見込みは厳しいと予測される中、水道施設の維持管理等を行い、施設等の耐震化を図りながら健全な水道事業経営が維持できるよう、中長期的な事業計画と財政計画の策定を進める。