経営の健全性・効率性について
令和2年度から公共下水道を含む下水道事業を経営状況が適切に把握できるよう法適化しました。そのため令和2年度からの当該値表示となっています。①経常収支比率(経常収益÷経常費用×100)が概ね89.43%で単年度収支では赤字の結果となりました。②累積欠損金(営業活動により生じた複数年度にわたる累積した欠損)は、法適後2年間で114.55%と全国平均と比較して6.0倍であることから早急な経営の健全化が必要です。また③短期的な債務に対する支払能力を示す指標の流動比率は43.55%となり現金(キャッシュ)が全国平均、類似団体と比較して少ないことが推察されます。一方④企業債残高対事業規模比率がゼロなのは、一般会計からの出資金によって企業債を100%繰り入れているためです。⑤経費回収率(下水道使用料÷汚水処理費(公費負担を除く)×100)は、84.30%であることから汚水処理に係る費用は、使用料以外の収入によって賄われていることが分かります。このことからも適正な使用料収入の確保と汚水処理費用の削減によって経費回収率を100%へ近づけていく必要があります。⑥汚水処理原価(汚水処理費用÷年間有収水量)は類似団体平均(213.66円/㎥)と比較して若干高い220.74円/㎥です。観光エリアを含む処理区であるため季節による汚水処理量の増加を考慮し施設整備を行ったことから⑦施設使用率が25.31%と低い状況にあります。また⑧水洗化率が71.87%であることからも接続率を向上させ施設利用率を上げていく取り組みが求められてます。
老朽化の状況について
供用開始から20年以上経過する処理区であり、処理場や設備等の大規模な耐震等改修や修繕が必要になっています。令和3年度から令和4年度にかけ国庫補助を活用して耐震補強や設備更新のための工事を実施します。なお、管渠については老朽化への対策をしばらく行う必要はありませんが、人口減少に見合った今後の下水道事業のあり方について検討を行い、効率的な老朽化対策の準備を進める必要があります。
全体総括
事業区域内人口と観光人口が年々減少していることから、現状の施設規模を維持していくことが妥当であるのかについての検討が必要です。また、施設利用率を少しでも向上させるためには、水洗化率を高めるための啓発活動や情報発信を行う必要があります。老朽化による設備等の更新や修繕費用について平準化するよう計画を策定し、経費回収率を100%に近づけるための適正な使用料の検討もあわせて行う必要があります。なお経常収支比率を100%以上にするために企業債残高対事業規模比率がゼロであることから一般会計からの繰入れの方法について変更する必要もあります。