経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、経常収支が黒字である100%を上回り、⑤料金回収率(給水に係る費用と水道料金収入の比率で100%以上が適正)でも100%を上回っています。しかし、本年度は営業損失に転じ営業外収支益により黒字となっています。前年度に比べ給水収益は増加していますが、施設維持費用が前年度より増えたことで前年度に比べ比率が減少しました。②累積欠損金比率は本年度もゼロとなり、複数年にわたって累積した損失がないことが分かります。③流動比率は、短期的(1年以内)な債務に対する支払い能力を表しており前年度に比べ61.25ポイント増加し健全な結果となりました。100%を上回り、現金がない事により”1年以内に支払わなければならない負債”がないことが分かります。主な要因は、業務活動によるキャッシュの増及び投資活動によるキャッシュの減少幅が縮小したことによります。④企業債残高対給水収益比率は、給水収益に対する企業債残高の割合を表します。本市は他事業体に比べ高い数値となっていますが、当該年度で元金償還額より借入額が少ない場合、前年度より減少します。本市は、沖縄本島から離れた島という地理的条件により受水ができず、取水施設・導水施設・浄水施設・送水施設・配水施設を有する必要があり、給水人口が5万人未満の水道料金収入で賄うことが困難であるため投資財源を企業債で賄う必要があります。⑥給水原価は、有収水量1㎥を供給するのに要した費用(原水を取水し、浄化したのち水道蛇口から1㎥の水を届けるのに要した費用)を表します。有収水量の増加に比べより費用の増加が影響し増加となりました。⑦施設利用率は、施設の利用状況と施設の規模が適正であるかを表します。一日の平均配水量と一日の配水能力の割合で表し、100%に近いほど健全とされ、低いと施設の統廃合やダウンサイジング等の検討が考えられます。本年度は71.74%で全国平均及び類似団体平均値に比べ適正と考えます。⑧有収率は、施設の稼動によりどれくらいの収益を得ているかを表し、浄水場からの配水量と水道料金で得た有収水量の割合になります。値は100%に近いほど健全ですが、全国平均及び類似団体平均値より下回り、前年度に比べ2.79ポイント改善しています。有収率は、主に一次側(量水器の流入側までの区間)の漏水や配水管工事等による無効水量が影響します。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却費率は、有形固定資産の老朽化度合いを表します。数値が高い場合は、法定耐用年数を経過した管路を多く保有していることになり、本市は、全国平均及び類似団体に比べ比率が高い結果となっています。②管路経年化率は、法定耐用年数を超えた管路延長の割合を表しています。前年度に比べ法定耐用年数を超えた管の割合が増加したことになります。本市は、全国平均及び類似団体に比べ比率が低い結果となっています。③管路更新率は、当該年度に更新した管路延長の割合を表す指標で管路の更新ペースや状況を判断でき、全国平均及び類似団体平均値に比べ低い結果となっています。
全体総括
本年度は、給水人口や入域観光客数の増加により水道料金収入の増加となりましたが、節水機器やペットボトル飲料水など嗜好品の増加、人口減少及び入域観光客数の推移動向を踏まえ、取水から給水までの施設の老朽化による費用増加が見込まれる事から、有収率の向上及び施設の維持管理・更新や財源確保の取組を強化する必要があります。