経営の健全性・効率性について
令和2年度決算では平成30年7月に発生した豪雨災害からの回復途上にあった前年度と比較し、⑦を除く経営指標について数値の改善が見られた。①経常収支比率については、平成30年度に豪雨災害の影響により大きく減少したが、その後は回復傾向にあり、前年度から1.72%増加した。また⑤料金回収率についても、前年度から2.65%増加し、いずれの数値も100%以上を維持し、類似団体平均を上回っているが、給水人口の減少等に伴う給水収益の減少等により、H29年度以前の水準までは回復していない状況である。④企業債残高対給水収益比率については、給水収益に対する企業債残高が過大にならないように借入を行っていることから、類似団体平均や全国平均と比べても良好な数値となっている。⑥給水原価については、当市の半島部・島しょ部を抱える地理的な要因によって、類似団体平均・全国平均よりも高い数値になっている。⑦施設利用率については、前年度から2.29%減少した。不利な地理的要因に加え、給水人口の減少等の影響によって低下傾向にあり、施設の統廃合や適切な施設規模かどうか等の検討を進めていく必要がある。⑧有収率については、漏水箇所の修繕等により、前年度より3.95%増加しており、豪雨災害前の水準まで回復した。引き続き、漏水調査や修繕、管路の更新等の取組を強化する必要がある。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率については、前年度より0.16%上昇し、類似団体平均と比較し、法定耐用年数に近い資産を多く抱えている状況が続いている。②管路経年化率については、前年度から0.16%微減しているが類似団体平均を6.79%上回った。当市の管路布設状況は、昭和50年から57年までの8年間で管路総延長の約55%を占めているため今後は数値が上昇すると想定される。③管路更新率については、前年度と数値は変わらなかった。新型コロナウイルス感染拡大等の影響を受け、工期延期等で年度内に実施することができない工事があり、豪雨災害前の水準までの回復に至らず、類似団体平均を0.12%下回っている。現在、令和5年度までの第7次整備事業計画期間中であるが、優先順位をつけて限られた財源の中で効率的に管路等の更新を進めている。
全体総括
令和2年度決算においては、前年度と比較して概ね良好な結果となったが、給水人口の減少等に伴う給水収益の減少が続く中で、老朽化に伴う更新需要は増加している。今後検討が行われる令和6年度以降の次期建設計画においては、計画的な更新はもとより、施設規模の適正化を進めていく必要があり、更なる合理化・効率化のために、水道企業団との統合や水道事業の広域化等も検討し、長期的で計画的な視野のもと、安定した運営ができるように努力していくことが求められる。