経営の健全性・効率性について
①経常収支比率:令和2年度は料金改定により営業収益が大幅に増加する予定でしたが、新型コロナウイルス感染症対策の一環として半年間基本使用料を全額免除したことにより微増に留まりました。しかし免除分は全額一般会計から繰り入れたことにより、営業外収益が増加したことで、前年度比18.41%の増加となり全国・類似団体平均を上回っています。今後、人口減少に伴い有収水量は減少し続け、施設老朽化に伴う維持管理費用の増加が予想されるため、更なる経営健全化を図る必要があります。②累積欠損金比率は発生していません。③流動比率:令和2年度は類似団体の平均値を下回っており、料金改定により経常収益は増加しましたが、有価証券を資金運用のために購入したこと等により現金及び預金は微増に留まったことや、未払金の増加等により前年度比▲82.58%となっています。④企業債残高対給水収益比率:令和2年度は企業債の償還が進むことで前年度比▲3.15%となりました。しかし、依然として全国・類似団体平均を大きく上回っており、今後、老朽化した施設更新等に際して、企業債の借入を抑制していく必要があります。⑤料金回収率:半年間基本使用料を全額免除したため100%を下回っていますが、減額分を加味した場合110.5%となります。⑥給水原価:令和2年度は類似団体平均よりは下回っており前年度比▲0.24円となっているものの施設の老朽化により、経常費用が増加しています。更なる経費削減努力が必要です。⑦施設利用率:合併後、旧5町の施設を引き継いだため多くの施設を有しており、全国・類似団体平均を下回っています。前年度比0.3%増となっているものの、施設更新の際には、統廃合や合理化の検討が必要です。⑧有収率:全国・類似団体平均と比較して低くなっていますが、毎年度漏水調査を行い継続的に修繕工事を行っています。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率平成30年度に比較的新しい施設が多い簡易水道事業を統合したことで、全国平均は下回るものの、令和2年度は前年度比0.3%の増加となっており、依然として法定耐用年数を迎える管路及び施設が数多くあるため、計画的な更新が必要です。②管路経年化率当市は、管路の更新が耐用年数にあわせて行えていない状況にあり、全国・類似団体平均を上回る結果となっています。今後、比較的新しい管路を有する簡易水道事業統合による影響を除き、増加傾向となる見込みであるため、計画的な更新が必要です。③管路更新率漏水による影響が大きい老朽管を優先的に、漏水修繕工事や配管替工事等により更新を行っていますが、全国・類似団体平均と比較すると低い水準となっています。平成30年度から、国の交付金等を活用し基幹管路更新事業を実施していますが、限られた財源の中で計画的な更新が必要です。
全体総括
令和2年度決算における当市水道事業の経営状況ですが、平均料金改定率18%の引き上げにより経常収支比率は、前年度比18.41%の増となり、昨年度までの減少から改善しています。また料金回収率も減額分を加味した場合110.5%、前年度比13.02%の増となっており、給水に係る費用を給水収益で賄うことができています。しかしながら当市の人口は減少し続けており、給水収益の増加が見込めない一方、老朽化した施設の更新、耐震化のため多額の費用が必要となってきます。財源を確保するため、更なる経費節減と計画的な施設の更新を行い、健全で持続可能な水道事業の運営に努めます。