経営の健全性・効率性について
①は、新型コロナウイルス感染症対策に伴う外出自粛により、在宅時間が長くなった影響等から、有収水量が増加し、給水収益も増額したため、令和元年度に比べ3.35ポイントの増となり、類似団体の平均値よりも上回っており、安定的な経営を継続できている。②は、健全経営の維持により、累積欠損金は発生していない。③は、給水収益の増収に伴う純利益の増や、企業債借入額の増額や建設改良工事費の減額に伴う現金預金の増により流動資産が増え、令和元年度に比べ28.6ポイントの増となっており、負債に対する十分な支払能力を有した財務状況である。④は、企業債借入額の増に伴い、企業債残高が増加したものの、給水収益が増収したことから、令和元年度に比べ.2.71ポイントの減となった。⑤は、経常費用の減少に伴い給水原価が減額したことから、令和元年度に比べ3.9ポイントの増となっており、適切な料金収入が確保されている。⑥は、固定資産除却費、企業債利息等の減により経常費用が減少したことから、令和元年度と比較し4.46ポイントの減となり、類似団体平均値に比べ安価に給水ができている運営状況である。⑦は、一日平均配水量が増加したことに加え、一日配水能力の数値を変更認可時の数値に改めたことから、令和元年度と比較し、若干数値が上がったものの大きな変動はなく、類似団体平均値に比べて数値が高いことから、効率的な稼働ができている。⑧は、計画的な管路更新や漏水修繕に係る迅速な対応により、若干ではあるが年々増加しており、類似団体平均値も上回っている。
老朽化の状況について
①は、類似団体平均値を下回っているものの、法定耐用年数に近い資産が増加しているため、当該数値は年々増加傾向にある。そのため、平成30年度に策定した「アセットマネジメント計画」等に基づき、施設更新を推進している。②は、平成25年度に策定した「老朽管更新(耐震化)第2次計画」に基づく基幹管路の耐震化工事をはじめ、各計画に沿った管路の更新を進めていることから、令和元年度に比べ0.75ポイント増となり、若干増加傾向にあるものの、類似団体よりも比較的新しい管路が多いため、平均値を大きく下回っている。③は、建設改良費の減額に加え、令和元年度は、受贈管路(宅地開発などで民間が道路下に布設した水道管を市水道事業へ管理移管したもの)も数値に反映していたため、令和元年度と比較して0.51ポイントの減となったものの、類似団体平均値よりも上回っている。令和2年度に策定した「経営戦略」において、毎年更新率1%以上を目標として据えており、今後も計画的に更新していく。
全体総括
平成28年度に行った料金改定以外にも、遊休資産の売却による新たな財源を確保するとともに、新電力の活用等による経費の削減を図ることで、経営の健全性・効率性は保たれており、経営環境は良好な状態を維持している。一方で、令和2年度は、新型コロナウイルス感染症の影響等から一時的に料金収入は増額したものの、将来的には給水人口の減等による水需要の減少に伴い、料金収入の減収も予想される。また、老朽化に伴う施設更新や災害に備えた整備費用の増額が見込まれている。そのため、今後も「アセットマネジメント計画」等に基づき、事業費の平準化と効率化を図りながら、施設の更新や管路の耐震化を計画的に進めるとともに、令和2年度に策定した「経営戦略」に基づき、引き続き、安定した健全経営の持続に努めていく。