経営の健全性・効率性について
①の経常収支比率は100%を超えて黒字であり、平成29年度からは類似団体より高い率となっています。②累積欠損金は欠損金が生じていないため、0です。③については、令和2年4月1日に旧簡易水道事業を経営統合したことにより、旧簡易水道事業の企業債借入残高を引き継ぎました。そのため、償還額が増えたことにより、流動比率の値が低下していますが、問題ない範囲と考えます。④は③と同様の要因により、企業債残高を引き継いだため、昨年度と比較しますと99.74ポイント増加しています。明確な数値基準はないと考えられていますが、類似団体平均を下回っています。⑤の回収率は100%を超えており、給水に係る費用の全てを給水収益で賄えています。ただし、一般会計からの繰入により経営を維持していた旧簡易水道事業を経営統合したことにより、前年度比較では値が下がっています。⑥の給水原価は類似団体より低い点は評価できますが、投資活動が少ない分、減価償却費や支払利息が少なく、その結果低くなっているという捉え方もできます。⑦施設利用率は類似団体と比較して高く、効率的に利用しています。⑧の有収率は類似団体と比較し、10ポイント以上低く、非常に悪い値となっています。原因は、管路の老朽化による漏水等であると考えられます。漏水調査についてはスキルアップし、計画的に実施していますが、老朽管の更新も急ぐ必要があります。
老朽化の状況について
①については、事業創設が昭和27年と考えると妥当な値と考えられ、類似団体と比較しても低い値となっています。前年度からの減少要因は、旧簡易水道事業において統合直前に更新した施設が影響しています。②の耐用年数が経過した管の率は、類似団体より高く、①の指標で見るよりも管路については更新が進んでいないと推察されます。③の管路更新率は、類似団体とほぼ同じ値となっています。しかし、2.5%未満の場合、全ての管路を更新するのに40年以上かかる更新ペースであることから、現在の状況では管路の更新が不足していることが明らかとなっています。
全体総括
本市の経営状況は、経常収支比率、料金回収率と100を超え、健全性は保たれています。しかし、有収率の低下からもわかるとおり、必要な更新工事、老朽化対策等が遅れており、更新率が低いことからも必要な更新投資を先延ばししてきたとも分析できます。また、旧簡易水道事業の経営統合の影響は各指標の動きからも、厳しい経営状況となったことは明白です。新型コロナウイルス感染症の影響により中断していた水道料金改定の審議会も終了し、令和5年4月からの料金改定を目途に準備を進めています。今後も平成29年度に策定した水道ビジョン・経営戦略に基づき、本市水道事業の将来像である「将来へつなぐ安全で信頼できるしまだの水道」の実現のため、着実に事業を進めていきます。