経営の健全性・効率性について
経常収支比率を見ると昨年度の赤字から黒字へと回復しましたが、料金回収率は52.97%と微減し、依然として給水収益だけでは経費を賄いきれておらず、一般会計補助金で経費を賄っている状態が続いています。これらを改善するため、令和4年度に町村合併後初の料金改定を予定しており経営改善を図ります。企業債残高対給水収益比率では、給水人口が減少傾向にある北部地域の旧簡易水道を平成28年度に統合したことで、給水収益に比べて企業債残高の割合が大きくなり、企業債残高対給水収益比率が高くなりました。しかし、平成28年度から企業債の借入れを抑制し残高の増加を抑え続けてきた結果、企業債残高対給水収益比率は年々減少傾向にあり、令和3年度でも若干ではありますが減少しているため、今後も引き続き企業債の借入れの抑制に努める必要があります。料金回収率と給水原価において、施設の経費に比べ給水収益の割合が少ない原因は、北部地域の旧簡易水道を統合したことによる維持管理費に対する給水収益の割合の減少や、施設数の増加に伴う費用の増加が考えられます。そのため、今後は1施設に係る経費の削減や料金改定による給水収益の確保、将来を見据えた施設規模の更新が必要です。料金回収率、給水原価、施設利用率、有収率に加え普及率も令和2年度と比較すると横ばいであることから、新たな漏水を増やすこと無く維持できているため、今後も漏水箇所の修繕に努め有収率を上げて効率良く給水していく必要があります。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率と管路経年化率は、類似団体に比べて低いため、水道管路の老朽管の割合も低いと言えますが、管路経年化率においては年々増加傾向にあるため、計画的な更新を行う必要があります。管路更新率は、令和2年度に東海環状自動車道に伴う改良工事が増加したことによって一時的に大幅に上昇しましたが、令和3年度は令和2年度に比べ改良工事が少なかったために減少しました。経常収益が減少する中で管路経年化率の大幅な上昇を抑えるよう必要最小限の管路更新を行いながら、今後も経営状況とのバランスを計りながら、管路の計画的な更新を行っていく必要があります。
全体総括
独立採算が原則ではありますが、給水収益のみでは経費を賄えておらず、一般会計補助金により経費の一部を賄っているのが現状です。また、給水人口が少ない中で施設を維持していた市北部の旧簡水地域を統合したことにより、給水収益に対する維持管理費の割合が増え、さらには人口減少や節水機器の普及などによる給水量の減少により、給水収益の減少が今後も進むことが考えられます。そのため、適切な施設の維持管理や施設規模の見直しなどの経費削減、漏水対策による有収率の向上に加え、料金改定による給水収益の向上を図り、計画的かつ効率的な事業運営、経営改善を目指し、安定した水道水の供給に努める必要があります。