経営の健全性・効率性について
経常収支比率が102.45%の繰入金に依存しているためである。経費回収率より、本来使用料で回収すべき汚水処理費の回収が全国平均と比較しても低く経営状況としては使用料の水準が適切ではない。当然、使用料改定が必要だが、合併時より下水3事業の使用料を統一しており、3会計を含めた経営分析を行い料金改定の判断を行う必要がある。汚水処理原価が表すように、全国平均と比較してコストが掛かっている。現在、経常収支費は100%を超えていて利益が出ているが、町内に1社しか汚泥の抜取りを行える許可業者がなく独占市場となっているため、価格競争が働かず維持管理コストが下がりにくい。委託費について令和元年度より町の条例改正に伴い段階的に汚泥の抜取り単価が増額となったため、令和元年度においては維持管理費の増加となった。委託費については令和2年度についても増加予定である今後、一般会計の繰入金に依存しない経営を目指すためにも投資の効率化、維持管理費の削減に努める。施設の利用率について、合併処理浄化槽については使用用途や延べ床面積をもとにGIS規格に基づき人槽を算定している。町で設置しているため使用者の変更リスク等を勘案しなかなか実使用人数・水量に応じた人槽の算定ができない(人槽緩和について県の許可も通りにくい)。また令和元年度について中型・大型の浄化槽の設置を行ったが、使用開始について年度を超えたため、回収を行えていない。また、空き家等で稼働していない浄化槽の基数が増加している。
老朽化の状況について
町設置の資産については耐用年数を超えた資産はない。寄付分の浄化槽については更新時期を迎える資産があり必要に応じて更新工事が見込まれるため内部留保資金の確保に努める。将来の更新工事のため現金の確保を行っている。そのため流動比率についても全国平均と比較しても流動資産を確保している結果である。今後の老朽化対策として、アセットマネジメント・ストックマネジメント等の検討が必要である。
全体総括
経営状況の透明化や明確化を図るため、平成15年度の事業開始当初より地方公営企業法適用企業として経営を行っている。浄化槽の設置基数の増加に伴い維持管理費の増加は明白であり、使用料収入の不足分として一般会計の繰入金に依存している。その解消に向け料金改定を検討の必要があるが、当町が下水事業ごとに料金設定を分けていないため、他事業と合わせた料金の検討、住民への説明が必要である。今後も、更新工事に向けた資金確保に努め、資金運用等により有効な活用に努める。