経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、過去5年間100%を下回ったことはなく、平成25年の102.76%が最低値で、新会計制度適用等により平成26年度以降は、増加傾向となっている。平成29年度においては114.42%と類似団体平均値より、3.74%高くなっている。主な要因としては、本市においても年々人口が減少する中、収入源となる給水収益は減少傾向にあるが、平成29年度は上灘地区簡易水道統合等により有収水量及び給水収益が微増、一般会計からの繰入金等の営業外収益も増加したことに加え、営業費用が前年度より減少したことが挙げられる。累積欠損金については、表②のとおり過去5年間0%となっており未発生である。また、流動比率は、表③のとおり過去5年間100%を下回ることはなく、平成29年度においては類似団体平均値をやや下回った333.91%となっており、支払い能力に余裕がある。企業債残高対給水収益比率については、表④が示す指標のとおり類似団体平均値より高い数値を示している。これは、平成29年度に上灘地区簡易水道統合を実施し、この事業費に係る企業債を償還する必要が生じたため増加したものであり、今後の企業債償還に要する経費については、一般会計から基準内繰入を行う予定である。給水原価については、過去5年間145円~160円で推移しており、類似団体平均値より約26円程度低く、料金回収率については、平成29年度110.03%であり、給水に係る費用を給水収益で賄うことができている。以上の指標から本市の経営については、概ね健全経営が維持されている状況にあると考えられるが、今後の施設更新において企業債や補助金に依存することが考えられるため、更なる費用削減や更新投資等に充てる財源の確保に努めていく必要がある。次に施設利用率については、平成25年には61.70%、平成26年には59.58%と減少したが、その後は上昇し、平成29年度は61.81%になり、類似団体平均値から見ても良好であると考えられる。さらに、有収率については、表⑧のとおり過去3年間数値が減少しており、平成29年度は前年度と比較し4.23%減少したため、今後、整備事業計画による管路の更新・漏水調査・修繕を強化する等の取り組みを進めなければならない。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率については、表①のとおり指標が類似団体平均値を過去5年間下回っており、平成29年度においては、36.92%と平均値より10.36%低い数値である。これは、上灘地区簡易水道統合を実施した影響があり、類似団体との比較においては、保有している資産が法定耐用年数に近づいている割合が低いと考えられるが、指標を参考に将来の施設の更新等の必要性と財源の確保に留意したい。管路更新率については、表③のとおり過去5年間の類似団体平均値と比較してみると、平均値を越えた管路更新の実績となっているが、数年のうちに管路経年化率は大きく上昇することが想定されている。このことを踏まえ、限られた財源で更新をするために、また、有収率の向上を図るためにも耐震化の対応と併せ今後積極的な整備に取り組む計画である。
全体総括
本市の上水道事業における財政状況については、現在のところ健全経営を維持している。しかしながら、平成29年度に上灘地区簡易水道統合を実施し上水道に統合したことに加え、老朽化した既存施設の更新、耐震化事業等、資本投資の増加が見込まれることから、健全経営の継続ができないことが想定されるため効率的な経営に一層努める必要がある。更に、人口減少に伴う水道利用収益の減少などに対応するため、料金改定を実施し、財源確保に努め、健全で安定した経営に取り組む必要がある。