経営の健全性・効率性について
【経常収支比率】本市ではH24.10月に改定率10.6%、H27.10月に10.0%の料金改定を実施しており、改定の翌年度は数値が改善しているが、その後は給水人口の減少等による給水収益の減により減少しており、改定の効果も限定的となっている。今後も給水収益は右肩下がりで推移すると見込んでおり、持続可能な経営基盤の強化を図るため、3年毎に料金改定検討委員会を開催し、適正な料金水準を協議する。【累積欠損金比率】該当はないが、今後もH29年度末に策定した「経営戦略」に基づき健全経営に努める。【流動比率】過去の料金改定の影響による流動資産の現金の増加により数値は増加傾向にあるが、今後は純利益の減少に加え、老朽管の更新(耐震化)工事の推進に伴い、流動負債の企業債の増加が見込まれるため動向を注視する必要がある。【企業債残高対給水収益比率】全国平均、類団平均を下回っており適正な数値であるが、H28の耐震化工事開始に伴う企業債残高の増加により数値は増加傾向にある。今後も耐震化工事の企業債借り入れにより企業債残高の増加が見込まれるため、注視する必要がある。【料金回収率】H27.10月の料金改定によりH28、H29は100%を上回ったが、H30は100%を下回り給水に係る費用が給水収益で賄えていない状況となっている。今後も100%を下回る状況が続くと思われるため、適正な料金水準を検討する必要がある。【給水原価】全国平均、類団平均を上回っているのは、総費用の約3割を占める南予水道企業団からの受水費が主要因と思われる。H28、H29の増加は簡水統合に伴う費用の増加による。今後は投資の効率化や維持管理費の削減等の経営改善が必要である。【施設利用率】H25に事業変更認可を行い、適正な施設規模に見直したことにより全国平均、類団平均を上回っているが、今後は給水人口の減少等を踏まえ、周辺自治体、企業団との広域化・共同化を含めた施設の統廃合やダウンサイジング等の検討を行う必要がある。【有収率】給・配水管が老朽化し、市内の至る所でほぼ毎日漏水が発生していることにより全国平均、類団平均を下回っている。今後も施設の日常点検や漏水調査を充実させ、老朽管更新事業を推進しながら有収率の向上を図る。
老朽化の状況について
【有形固定資産減価償却率】全国平均、類団平均を上回っており、資産の老朽化が進んでいる。法定耐用年数に近い資産が多くなっており、施設等の更新の必要性が高まっているため、更新財源の確保や経営に与える影響を分析する必要がある。【管路経年化率】全国平均、類団平均を上回っており、法定耐用年数を経過した管路を多く保有している。今後は更新投資を増やす必要があるが、全ての管路を更新するのは困難であるため、優先順位を定め、基幹管路や主要施設を中心に実施していく。更新については、財源の確保や経営に与える影響を分析する必要がある。【管路更新率】H28から老朽管更新(耐震化)工事に着手したことにより数値は改善傾向にある。全国平均、類団平均を上回る更新ペースではあるが、現状のペースでも全てを更新するには約50年かかるため、事業費の平準化を図り、計画的かつ効率的な更新に取り組む必要がある。
全体総括
・経常収支比率は100%を上回っているが料金回収率が100%を下回り、給水に係る費用が給水収益で賄えていない状況となっている。・有形固定資産減価償却率及び管路経年化率が高くなっており、施設更新の必要性が高まっている。H28から老朽管更新(耐震化)工事に着手しているが、今後も耐震化計画に基づきR9を目標とする基幹管路・施設の再構築に向けた同工事を計画的に実施していく。・持続可能な経営基盤の強化を図るため、本市では3年毎に料金改定検討委員会を開催し、適正な料金水準を協議することとしている。・今後は給水人口の減少等により経営環境が悪化するため、H29年度末に策定した「経営戦略」に基づき、安定した経営を行う。・施設利用率は高いが、有収率が低水準であり施設の稼働が収益に十分結びついていない。・漏水箇所の発見技術を磨くための各種研修会への参加に加えて、遠隔監視装置による監視を強化し、夜間流量の変化を中心に随時確認を行う。また、漏水調査を実施し、有収率の向上に努める。・将来的な給水人口の減少等を踏まえ、周辺自治体や企業団との広域化・共同化を見据え、施設の統廃合・ダウンサイジング等の検討を行う。・市ホームページやfacebookを活用した耐震化工事や漏水工事等に関する情報を発信している。また、利用者の水道事業への理解と関心を高めることを目的とした水道啓発イベントを開催している。R1年度は「経営戦略」の住民説明会を公民館単位で実施し、利用者と双方向的な広報活動を行っている。