経営の健全性・効率性について
令和元年度決算では、平成30年7月に発生した豪雨災害の影響を受けた前年度と比較し、①~⑧のすべての経営指標について数値の改善が見られた。①経常収支比率については、経常収益の大部分を占める給水収益が、豪雨災害の影響を受けた前年度から一定回復したため、前年度より0.80%微増した。⑤料金回収率についても、前年度から0.32%微増した。いずれの数値も100%以上を維持して類似団体平均を上回っているものの、豪雨災害以前の水準までは回復していない状況である。④企業債残高対給水収益比率については、給水収益に対する企業債残高が過大にならないようにコントロールしながら借入を行っていることから、類似団体平均値や全国平均値と比べても良好な数値となっている。⑥給水原価については、当市の半島部・島しょ部を抱える地理的要因によって、類似団体平均よりも高い数値で推移している。⑦施設利用率については、前年度より0.19%微増したものの、不利な地理的要因に加え給水人口の減少等の影響によって低下傾向にあり、施設の統廃合や適切な施設規模かどうか等の検討を行う必要がある。豪雨災害の影響で大幅に落ち込んだ⑧有収率についても、2.38%増加したものの、低下傾向にある。引き続き、漏水調査や修繕、管路の更新等の取組を強化していく必要がある。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率については、前年度から1.89%上昇し、類似団体と比べると法定耐用年数に近い資産を多く抱えている状況が続いている。②管路経年化率については、前年度から5.48%上昇して25.28%となり類似団体平均を8.17%上回った。当市の管路布設状況は、昭和50年から昭和57年までの8年間で管路総延長の約55%を占めているため今後も数値が上昇することが想定される。③管路更新率については、豪雨災害の影響を受けた前年度と比較し、0.27%改善したが、当年度も復旧工事を優先して実施したため、豪雨災害前の水準までの回復には至らず、類似団体平均を0.15%下回っている。現在、令和5年度までの第7次整備事業計画期間中であるが、災害復旧による整備事業計画の遅れを考慮し、優先順位をつけて限られた財源の中で効率的に管路等の更新を進めている。
全体総括
令和元年度決算においては、豪雨災害の影響を大きく受けた前年度からの回復が見られた。しかし、給水人口の減少等に伴う給水収益の減少等によって今以上に厳しい事業運営となることが想定され、更なる経営の引き締めが必要となる。また、施設面では、老朽化に伴う更新需要の増加や施設利用率の低下が見込まれ、計画的な更新、施設規模の適正化についても検討が必要な状況になっている。経常収支比率や企業債残高対給水収益比率等が平均値以上で経営状況に比較的余裕がある今、積極的な更新投資を行う必要があり、また、更なる合理化・効率化のために、水道企業団との統合や水道事業の広域化等も検討し、長期的で計画的な視野のもと、安定した運営ができるように努力していくことが求められる。