経営の健全性・効率性について
・「経常収支比率」は109%程度で、維持管理費や支払利息等の経常経費を給水収益等の経常収益で賄えている。人口減少に伴う給水収益の減少傾向が今後も続くことが見込まれることから、経常経費の節減に継続的に取り組んでいく必要がある。「累積欠損金」は生じていない。・「流動比率」については、200%を上回っており、短期的な債務の支払い能力については問題がないものと考える。・「企業債残高対給水収益比率」は年々減少しているが、これは、平成21年度から企業債による資金調達を行わず、損益勘定留保資金等で建設改良費の財源を確保してきたためである。・「料金回収率」は、100%を僅かに上回っており、供給単価が給水原価を僅かに上回っている。平成30年4月の簡易水道の上水道への統合に併せて、平成30年10月から段階的な料金改定を実施しているところであり、適切な料金収入の確保を図っていく。・人口減少に伴う水需要の減少により、配水量は低下し、施設利用率も年々低下している。・「有収率」は78%で類似団体平均値を大きく下回っている。漏水調査等により有収率の向上に努めてはいるものの、老朽管路の計画的更新により有収率の向上に継続的に取り組む必要がある。・安定した給水収益を確保し、経常経費の削減等の経営合理化に継続的に取り組み、経営基盤の強化に努めていく。
老朽化の状況について
・「有形固定資産減価償却率」は、46%で年々増加傾向にあり、資産の老朽化度合は進みつつある。・「管路経年化率」も同様に上昇傾向にあることから、管路更新計画に基づく計画的な更新を図る必要がある。・「管路更新率」は、依然として低い水準にあり、現行の更新水準では更新需要に追いつかない状況にあるため、更新スピードを速める必要がある。しかしながら、管路更新に見合う財源を確保することも同時に必要となってくることから、料金収入の確保とあわせての検討を必要とする。・このような水道施設の老朽化の状況を踏まえ、予防保全的な補修等により、資産の長寿命化を図り、更新費用の低減を目指すアセット・マネジメント手法を活用した配水管路等の水道施設の更新計画を策定したうえで、計画的な更新事業を実施していく。
全体総括
・人口減少に伴う給水収益の減少傾向が進むなか、退職職員の不補充による水道事業職員の削減等、経常経費の縮減に継続的に取り組むことにより、各事業年度の最終利益を確保し、水道事業の健全経営に努めてきたところである。・しかしながら、老朽化する水道施設、管路等の更新需要の増加に十分に対応できていないことが各種の経営指標から見てとれる。・また、経営基盤の脆弱な簡易水道事業との統合を平成30年4月に実施しており、本市の水道事業経営を取り巻く環境は依然として厳しい状況が続くものと見込まれる。・このような現状と将来見通しを踏まえたうえで、先般策定した「水道事業経営戦略」に基づき、毎年度の進捗管理と計画と実績の乖離の検証を行い、対応策を検討することにより、将来にわたって持続可能な水道事業経営に取り組んでいく。