経営の健全性・効率性について
本町の水道事業の経営状況については経常収支比率で示されているとおり単年度収支は黒字が継続しており、平成29年度の流動比率は平均値に対し約11倍、また企業債残高対給水収益比率は約3%と低い水準であることから、収支面及び資金面において健全な状態であるといえる。しかし、低廉な料金設定の影響により料金回収率は平均値よりも低く、料金収入の不足を水道事業が保有する財政調整基金からの繰入れにより経常黒字となっている状況であり、加えて給水原価は平均値よりも高い状態が続いており、経費においては固定的経費である京都府営水道水の受水費が大きな比重を占めている状況である。今後の経営については、将来的に見込まれる財政調整基金の枯渇にも耐えうるよう、経営改善を図っていくことが必要である。また平成29年度の施設利用率は、前年度より微減となったものの計画一日最大給水量の認可変更の影響などにより平均値を上回っており、また有収率は計画的な管更新の実施などにより平均値よりも高い水準が維持できている状況である。
老朽化の状況について
引き続き下水道管の布設工事に併せて老朽化した水道管の更新を行うことで、費用面や工程面において効率的な管更新が実施できており、管路経年化率は平均値よりも低い水準が維持できている。今後老朽化した施設については、耐震診断等を基軸にした耐震、長寿命化及び施設更新の計画を策定するなど、効率的な施設の更新や維持を行っていく必要がある。
全体総括
経営状況については、財政調整基金の繰入れにより単年度収支は黒字が継続しているものの、低廉な料金設定の影響により料金回収率は平均値に対して低く、供給単価と給水原価の差が大きく開いている状況が続いている。今後増々経営環境が厳しくなると予測される状況の下、健全で安定的な経営を図るためには、引き続き施設規模の適正化の検討や料金回収率の改善に向けた料金水準の検討が必要である。