経営の健全性・効率性について
①経常収支比率、⑤料金回収率:どちらも指標を100%を超えており、単年度収支は黒字、給水にかかる費用が給水収益で賄われていると考えられる。また、①の指標については、2年連続類似団体平均値以下であったが、平成30年度は類似団体平均値を上回った。これは平成31年1月施行の料金改定により収益性が改善されたと考えられる。③流動比率:昨年度より56%多い300%超えとなり、短期債務の支払能力は高まってきているが、平成26年度以降、現金預金を含む流動資産が減少していることが懸念される。また、類似団体平均値と比較すると乖離が大きいため、今後も料金改定による営業収益、流動負債の増加要因となる建設改良費に充てられる企業債等を把握していく必要がある。④企業債残高対給水収益比率:給水収益に対する企業債残高は減少傾向であり、新規借入れを行いながらも企業債残高を減らしている。今後も施設老朽化等による更新費用の増加を見据え、財源確保に取り組む。⑥給水原価:他団体と比べて低い数値となっており、給水にかかる費用が少なく抑えられている。今後、施設の維持管理費や老朽化に伴う修繕費の増加が予測されるため、必要に応じて経営改善を図る。⑦施設利用率、⑧有収率は共に類似団体平均を上回り、有収率は昨年度よりも数値が改善されているが、数値が低い年度もあるので、引き続き漏水調査及び修繕工事を行い、水量が収益に結び付くよう努める。
老朽化の状況について
①有形固定資産償却率は50%を超えていることから、資産の半分程度まで償却が進んできている。また、昨年度より数値が高く、他団体平均値を上回っており、法定耐用年数に近い資産が多いことを示している。②管路経年化率は、平均値よりは低いものの2年前から数値が上昇している。これは昭和50年代の拡張事業により同時期に布設した管路が、一気に法定耐用年数を迎えたためである。③管路更新率は昨年度と比較すると0.5%低く、他団体平均値以下の数値となっているが、今後も法定耐用年数を超えた管路更新事業を推進していくことは重要と考える。
全体総括
単年度の収支が黒字を示す経常収支比率は100%以上続いており、短期的な債務に対する支払い能力も有していると考えられる。また、安価な給水原価で既存施設の能力を効率的に利用し給水収益につなげており、効率性も発揮され、経営に関しては概ね良好な状況を維持している状況である。しかし、給水戸数は若干の伸びはあるものの、節水機器の普及等で有収水量は減少傾向であり、給水収益の増収見込みは厳しくなっていくと予想される。このような状況のもと、水道施設の維持管理等を行いながら、施設等の耐震化を図り、併せて法定耐用年数を迎える多くの配水管等の更新事業に必要な資金の確保を図りながら健全な経営が維持できるよう、中長期的な事業計画と財政計画の策定を進める。