経営の健全性・効率性について
①経常収支比率:単年度の収支が黒字であることを示す指標は100%以上となっているが、平成27年9月の料金改定(減額)以降、比率は前年度に続いて全国及び類似団体平均値を下回っている。③流動比率:1年以内に支払うべき債務に対して支払うことができる現金等がある状況は100%以上であるが、全国及び類似団体平均値を下回っている。現金・預金の減少が影響し、短期的な債務に対する支払能力が低下してきていると考えられる。④企業債残高対給水収益比率:他団体と比べ給水収益に対する企業債残高は低く、少しずつではあるが確実に残高は減少している状況である。⑤料金回収率:給水原価の低下により前年度より数値は0.45%上昇し、全国及び類似団体平均値を上回り、今後も効率的な経営に努める。⑥給水原価:平成27年度以降はほぼ横ばい状態であり、料金収入を得るために係る費用が安価な状態を維持できる経営に努める。⑦施設利用率:簡易水道を上水道への事業統合に伴って一日配水能力を見直したことにより、前年度と比べ11.11%上昇し、全国及び類似団体平均値を上回った。今後も既存施設の能力を効率的に利用していく。⑧有収率:前年度より1.15%上昇していることから、施設の稼働が収益につながり、経営の効率性が改善されつつあると考えられるが、全国平均値を下回っている状況なので、今後も漏水調査を行い有収率向上に努める。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率:平均値より高い数値で推移しており、他団体と比べ施設等の老朽化が進んでいると考えられる。事業計画に基づく施設等の更新を進めていく。②管路経年比率:例年平均値より数値は低いものの、2年前より法定年数を経過した管路がまとまって増える時期となり、早急な更新が必要であると考えられる。③管路更新率:管路延長に対して当該年度に更新した管路延長が占める割合を表しており、平均値より高い数値の状態が続いているが、前年度より0.11%減少しているため、今後も事業計画に基づく管路更新を計画的に実施していく。
全体総括
平成29年度の決算においては、給水戸数が前年度より1.6%増加しているが、給水収益の伸びは1%であった。平均値以下の経営分析指標もあり今後の水道事業経営は厳しくなっていくと考えられる。また、水道普及率は約99%に達しているが、節水意識の浸透と節水機器の普及により有収水量の増加の見込みも難しくなっていくと考えられる。こうした背景に加えて、浄水場等の施設維持管理及び耐震化、並びに老朽化した管路の更新工事を中心とした事業を進めていく中で、給水収益以外の財源を見込むことは難しく、水道事業単独で財源確保に努める必要がある。財源の確保を図りながら健全な水道事業運営を維持するため、有収率の改善や業務委託等を含めた経営戦略(平成32年度までに策定予定)の策定を進めるとともに、引き続き経費削減に努め水道事業を計画的に実施していく。