経営の健全性・効率性について
①経常収支比率、累積欠損金比率、料金回収率経常収支比率、料金回収率は前年度から微増となっており、ともに100%以上を維持している。累積欠損金も発生していないことから、収益性は良好であると考えられる。②企業債残高対給水収益比率基幹的施設であるゆめが丘浄水場への先行投資等により、類似団体と比較して高い水準となっているが、企業債の償還が新規借入を上回っている状況であり、現行料金の元での改善傾向を維持している。③給水原価給水人口の減少等に伴い有収水量の減少傾向が続いていることや、広い市域で多くの施設を保有、維持管理していることから、類似団体と比較して高い水準となっている。有収水量の減少傾向は今後も続くと見込んでいることから、効率的な施設運用による維持管理費の抑制等の取り組みをさらに進めていく必要がある。④有収率類似団体と比較して低い水準であるものの、わずかずつではあるが改善傾向となっている。これは日常的な漏水修繕等、料金徴収の対象とならない水量抑制の取り組みの成果と考えられるが、効果的な調査による漏水箇所の特定や配水ブロックの見直しによる効率的な配水系統の確立等、抜本的な対策が必要である。
老朽化の状況について
基幹的施設であるゆめが丘浄水場が比較的新しいことから、資産の老朽化度合を示す有形固定資産減価償却率は、事業全体としては低い値となっている。しかしながら個々の浄水施設等では老朽化が進んでいるものや、小規模で非効率な施設が多いことから、年次計画に基づき、こうした施設の廃止・統合による施設運用の効率化を進めているところであり、今後も引き続き施設の統廃合や給水需要に見合った規模・能力への改修等の取り組みを進めていく必要がある。管路については保有延長が長いこともあり、更新率が低い値で推移しているため、効率的かつ計画的な管路更新に向け、正確な管路情報に基づく老朽化状況の把握が行えるよう、管路管理システムのバージョンアップに向けた調査等を進めているところである。
全体総括
給水人口の減少に伴う水需要の減少が見込まれる中、老朽化が進む施設の更新に多額の費用が必要となるなど、厳しい経営環境は今後も続いていくものと見込まれる。こうした状況の中、基幹施設であるゆめが丘浄水場を最大限に活用することを前提とした施設運営の適正化等により、引き続きコスト縮減の取り組みを進めていく必要がある。R1.10月に施行された改正水道法では、広域的な事業連携や、アセットマネジメントをはじめとする適切な資産管理の推進等の必要性が示されたことから、こうした考え方を踏まえつつ、伊賀市水道事業基本計画及び伊賀市水道事業経営戦略に位置付けた施策を引き続き推進することで、投資と財源の両面から経営基盤の強化に向けた取り組みを進めていく。