経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、類似団体の平均を上回っているが、大口需用家である法人の給水収益の減少及び水源の修繕費や減価償却費の増加により、対前年度比で▲4.60ポイントとなった。収益は給水収益がメインであり、他のものに依存しておらず、収益の一部は、施設更新費用として積み立てている。②累積欠損金比率は、例年0%であり、剰余金もあるため欠損金が発生することはないと考える。③流動比率は、年度末の工事竣工件数が多く未払金が増加したことにより前年度より比率が下がったが、未収金の増加により流動資産は増加している。比率は500%を超えており、流動資産を現金化した場合、流動負債を支払える能力がある。④企業債残高対給水収益比率は、企業債残高が少なく給水収益が負債を上回っている。⑤料金回収率は、給水収益の減少による供給単価の下落及び水源の修繕費や減価償却費の増加による経常費用の増加により前年度を下回ったが、H26年度以降は100%を超えており、類似団体の平均を上回っている。⑥給水原価は、平均値に比べ少額で安定している。⑦施設利用率は、平均値に比べ10ポイント以上高くなっており、施設の能力を効率的に利用できている。⑧有収率については、道路漏水の影響により前年度を下回ったが、類似団体の平均値と比較して5ポイント以上高くなっている。よって岩倉市水道事業の経営は健全、効率的と評価できる。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率及び②管路経年化率については類似団体の平均値を上回っており、他市に比べて老朽化が進んでいるといえる。③管路更新率は、前年度は類似団体平均値を下回ったが、H29年度については、公共下水道工事に伴う水道管の布設替え工事件数の増加等により管路更新率が上がり、類似団体平均値の2倍以上となった。基幹管路及び基幹管路以外の配水管については、事業計画に沿って着実に工事を実施しているところであり、今後も③管路更新率を向上し、①有形固定資産減価償却率及び②管路経年化率の低下に努める。
全体総括
1.経営の健全性・効率性における①経常収支比率と⑤料金回収率はともに高く、収益を水道料金で賄えている。また、⑦施設利用率・⑧有収率も高く、施設能力を十分に活用し収益につなげていることから健全で効率的な経営をしていると判断する。2.老朽化の状況については、①有形固定資産減価償却率や②管路経年化率が示すように老朽化資産が多いが、管路耐震化計画に沿って事業を進めており、老朽化資産を順次更新している。今後は、給水人口の減少とともに施設の更新費用の増大が予想されるため、水道料金の値上げや資金調達方法等の検討をする必要がある。なお、経営戦略についてはH32年度までに策定する予定としている。