経営の健全性・効率性について
①経常収支比率、③流動比率は、前年度に比べて下降しました。全国平均・類似団体平均値よりはいずれの項目も下回っています。前年度と比べて、①は他会計補助金の減などにより1.64ポイントの減少、③は未払金の増などにより55.77ポイントの減少となりました。今後も将来の更新需要に備え給水収益の増収を図り、内部留保資金を増額できるよう料金の改定等を検討し、経営を強化する必要があります。④企業債残高対給水収益比率は、徐々に上昇しています。平成26年度より基幹配水管の耐震化計画による工事に着手し、その財源のため企業債借入を15年ぶりに再開し、継続していることによります。今後は、起債充当率を抑えながら計画的に借入を行う予定です。⑤料金回収率は平均値となっていますが、⑥給水原価が人件費の減などにより平均値より低く、供給単価も低いため、収益性が低くなっています。⑦施設利用率については、これまで認可上の計画配水量を施設能力と考えていましたが、建設予定が未定であることや、100%県水受水であり承認基本水量を超えて受水することはないことから、承認基本水量を施設能力と考えて変更しました。そのため、⑦は大幅に増加しました。⑧有収率は類似団体平均を上回り安定しています。更なる向上を目指し、計画的に老朽管の更新を進めていきます。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率、②管路経年化率ともに上昇傾向にあるのは、第3期拡張事業で整備した配水池、機械及び装置、管路が更新時期を迎えているためです。また、当市は、類似団体に比べて下水道事業の普及が早く、同時施工で布設替をした管路も法定耐用年数を経過し始めているため、②管路経年化率は類似団体平均を上回っています。③管路更新率は上昇傾向にありますが、更新が追いついていない状態です。急激な老朽化に対応するため老朽管更新のペースアップが重要課題となっていますが、工事費や工事担当職員の確保が懸案となっています。
全体総括
人口減少や節水意識の向上、節水機器の普及などにより水需要の伸びを期待することは難しく、これまでの整備により増大した資産をいかに維持し、持続可能な水道事業であり続けるかが重要な課題です。このような状況の中、施設や設備に関する投資とその財源見通しを試算し、収入と支出を均衡させた投資・財政計画である「経営戦略」を平成30年度に策定しました。経営状況を踏まえ、料金の改定時期や改定方法を検討していきます。経営戦略における将来の見通しと実態に大きな乖離が発生すると見込まれる場合は、見直しを行います。また、将来の施設のあり方を踏まえて策定した水道施設整備基本計画と整合を図った新水道ビジョンを策定し、その内容に沿って事業を進めることで安全で安心な水の安定供給に努めます。