経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は100%以上であり、類似団体平均値と比較して高い数値となっている。これは、平成30年8月に実施した料金改定(25.47%負担増)に伴う増収が大きな要因である。③流動比率は100%以上であるが、類似団体平均値と比較して比率はやや低い。今後の更新費用等に充てる財源確保が必要である。④企業債残高対給水収益比率は、浄水場の更新工事に関する企業債が増加していることにより、類似団体平均値と比較して高い数値となっている。今後も高い水準で推移していくと予想されることから、定期的な料金改定を視野に入れつつ、更なる経営改善を実施していく必要がある。⑤料金回収率は100%以上であり、類似団体と比較してやや高い数値となっている。料金改定により増加した給水収益で給水費用を賄えているといえる。⑥給水原価は、類似団体平均値と比較して低い数値となっている。しかし、今後は浄水場更新の減価償却費が増加することにより、高い水準へ推移していくことが考えられるため、投資の効率化等の検討が必要である。⑦施設利用率は、類似団体平均値と比較してやや低い数値となっている。これは給水人口の減少に伴い排水量が減少しているためであり、今後は配水能力について検討していく必要がある。⑧有収率は100%を下回り、類似団体平均値と比較して低い数値となっている。要因として、管路の老朽化等に起因する漏水が多いことが挙げられる。今後は老朽管更新や漏水調査等の対策を講じつつ、要因を更に調査・分析をして掘り下げていく必要がある。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、類似団体平均値と比較して高い数値となっており、老朽施設が増えていることを示している。今後は、迅速な施設更新を計画的に実施していく必要がある。②管路経年化率は、類似団体平均値と比較して高い数値となっており、著しく管路の老朽化が進んでいることが分かる。管路の更新は喫緊の課題であることから、更新財源の確保や経営分析を図りながら、計画的に実施していく必要がある。③管路更新率は、類似団体平均値と比較して低い傾向にある。要因としては、管路以外の施設維持費が増加している状況であり、老朽管更新の施工量を増やせないことによるものである。今後は定期的な料金改定により財源を確保しつつ、老朽施設の更新優先度を見極めながら、計画的に更新投資を実施していく必要がある。
全体総括
施設等の老朽化が進んでいる状況や、浄水場更新による費用(減価償却費・企業債支払利息)の増加が見込まれることを鑑みて、平成30年8月に料金改定を実施した。平成29年度と比較して、経常収支比率・企業債残高対給水収益比率・料金回収率は大きく増加した。しかし、その他の指標は類似団体平均値と比較して低い数値となっている状況である。今後は更なる料金改定を定期的に検討するなど、施設・管路の更新財源を適切に確保しつつ、更なるコスト削減を図りながら、計画的かつ迅速に事業を運営していく必要がある。