経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、簡易水道事業を統合したことで給水収益が増となったほか、県水の値下げによる受水費の減、企業債利子の減などにより、前年度に比べ改善しています。しかし、依然として類似団体平均より約10ポイント低い値であり、また、営業費用が営業収益を1億円近く上回っているなど、他会計補助金や長期前受金戻入などの営業外収益に依存した経営状況となっています。高料金対策及び統合水道企業債利子償還金に係る一般会計からの繰入金を主とする他会計補助金は今後減少し、給水収益も人口減少により減少傾向であることから、今後は、業務の効率化だけでなく料金改定も含めた経営基盤の強化が必要です。流動比率は、類似団体平均と同程度の値ですが、現金預金が減少傾向にあるため注視が必要です。企業債残高対給水収益比率については、近年新たな借り入れを行っていないため年々改善しています。ただし、将来的には、老朽化資産の更新費用が多額となることから、新たな企業債の借入が必要となる見込みです。料金回収率及び給水原価は、受水費や企業債利子の減少により若干改善しましたが、依然として料金回収率は100%を下回り、給水原価も類似団体平均より大幅に高い値となっています。水源をほぼ県からの受水としている点や地理的要因など給水原価が高くなる要因はありますが、業務の効率化や施設の統廃合及びダウンサイジングの検討など、給水原価の低減に努めていきます。施設利用率は、簡易水道事業の統合により前年度より6.42ポイント上昇しました。今後の配水量の推移を注視し、適切な規模での施設更新を図ります。有収率については、漏水調査等の対策を継続的に行うことで値の改善を目指します。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は償却資産における減価償却済みの割合を示す比率で、減価償却の進み具合や資産の老朽化の度合いを知ることができます。類似団体と差がなく平均的と言えますが、比率は右肩上がりとなっており老朽化が進んでいます。本市水道事業は昭和31年の給水開始後、平成初期の第2次拡張事業により管路延長が大幅に伸びたこともあり管路経年化率はまだ低い水準と言えます。しかし、今後、第2次拡張事業時に集中的に整備した管路が老朽化した際に、それらを同時期に更新することは経営上困難であり、平準化して更新することが必要となります。これらの比率の推移を注視しながら、将来の管路更新を計画的に行っていきます。
全体総括
本市水道事業は、平成28年度に純損失を計上して以来、経常収支比率はほぼ100%と、収支が均衡した非常に厳しい経営状況となっています。今後も、人口減少に伴い給水収益の減少傾向が続くことから、口径別料金体系への移行を含めた包括的な水道料金の見直しを早期に行うことを検討するとともに、業務の効率化や料金収納率の向上に努めていきます。また、今後、老朽化する施設等の更新に多額の費用が見込まれますが、令和元年度に策定するアセットマネジメント等により計画的な更新を行っていきます。一方、全国的に課題となっている水道事業の広域化・広域連携について、近隣町村だけでなく県を含めて調査、研究の取り組みを行っています。将来にわたり、安定的な水道事業経営を行っていくために、より効率的な事業形態を検討しながら経営の健全化に努めていきます。