北斗市:簡易水道事業(法適用)

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経営比較分析表(2017年度)

経営の健全性・効率性について

経常収支比率については過去5年間で平均110%を超えているが、前年比で約4%ダウンした。累積欠損は発生していない。流動比率に関しては、H26年度急激に指標が悪化しているが、会計制度の改正により、H25年度まで資本金計上することとなっていた借入金が、負債計上されることとなった影響によるものである。借入金のうち、向こう1年間の企業債返済額について、流動負債に計上するよう義務づけられたためであり、経営自体が悪化したものではない。しかし、改正により向こう1年間の返済にかかる資金が可視化され、流動負債よりも流動資産が少ないことが判明しリスクとして認識することとなった。流動負債の借入金は全て建設改良に充てられた企業債であり、返済の原資は給水収益によって賄われおり、今後10年間の中期財政推計においては、微減はするものの毎年度約7億円の収益は確保できるものと判断している。これにより経常収支は約1億円で推移を見込み、非現金費用である減価償却費等は約3.5億円程度で推移するので約4.5億円のキャッシュインを見込む。流動負債は約3.8億円で、8割を占める企業債償還金は、H28年度の3.5億円をピークに減少へ転じた。これにより今後10年間において資金ショートは想定しないが、資産投資額への注視と想定外の事故などに備えた改善が必要である。H29年度は制度改正年のH26年度比で約24ポイント改善した。企業債残高対給水収益比率について、類似団体と比較すると企業債の規模は大きい。これは、全国的に高度成長期の設備投資が一段落して企業債の返済が進んでいる事業体が多いのに対して、北斗市は平成以降も人口流入が続き、水道施設拡張に追われたことから、企業債の返済途上にあることが影響しているものと判断できる。H29年度は28ポイント減少。これは事業効率の合理化に伴う、経常収支比率の伸びにより、手元資金が増え起債額を抑えられたことに起因する。料金回収率は前年比4ポイント減少したが117%となっており、堅調な回収率を維持し、料金収入のみで独立採算を保っているのが読み取れる。これにより、後年時へ負担を先送りすることなく、料金により施設の更新財源を回収しているものと分析されるが、人口減少に伴う給水収益の減少や、修繕費用などの増加により、指標は低下するので注視する必要がある。なお、H29年度は料金収入が微減し、修繕費用が増加したため、回収率が4ポイント減少した。給水原価は、減少傾向にあったが、前述のとおり修繕費用が増加したためH29年度は126円/㎥と4円/㎥高くなった。しかし、類似他団体と比較すると約40円/㎥程度安価である。超過1㎥あたりの料金設定が130円(税抜)であるため、原価は概ね料金へ転嫁し、将来投資分へ資金を確保出来ている状況と判断できる。原価の低減は、低廉な給水の提供に繋がるため、なおも維持管理費のスリム化を検討する必要がある。だが、視点を変えると、平成以降に投資された比較的新しい資産により、維持管理費用が抑制されているものであると考察でき、経年による維持管理費用の増加を注視しなければならない。施設利用率は約75%で推移しており、類似団体と比較すると効率的な配水が提供されている。近年まで拡張事業が行われていたため、需要に比例した結果の指標であると考えられる。しかし、給水人口が減少傾向にあるため、今後指標の低下が危惧される。逆に、大口需要の発生、繁忙期の安定供給など、施設にかかる負荷を注視し、適切な投資の判断を迫られる。有収率については、類似団体と比較すると指標は高く、約88%程度で横ばいで推移しているが、依然として老朽化による漏水修繕は頻発している。有収率の悪化は、老朽資産の顕在化として捉えられ、維持管理費の増加が危惧される。流動比率の指標の低さや企業債残高が高水準であることから、維持管理費増加のリスクは重く、今後も更なる改善が課題である。各指標を整理すると、収益は黒字で独立採算を保ち、比較的安価に効率よく水の供給ができているため、健全に経営されているものと分析できる。流動比率は改善傾向とはいえ、更新費用の財源が構築されているとは言い難く、建設改良が企業債に依存されている状況は変わらない。

老朽化の状況について

有形固定資産減価償却率について、H25年度から26年度にかけて償却率がアップしたのは会計制度改正の影響によるもので、減価償却から除外されていた資産を計上したためである。指標は類似団体、全国平均からみても軒並み同様の数値を示している。全国的に同様の数値を示しており、北斗市においても施設の老朽化が進行しているのが読み取れる。老朽化の指標が全国平均と同様の指標を示しているにも関わらず、企業債残高対給水収益比率の指標が高いことを考察すると、起債依存度が高いことが読み取れ、流動比率の指標が低いことにも影響している。管路経年化率は、全国的にみて北斗市の指標が高く経年化率が進行しているのが読み取れるが、H25年度からH29年度の5年間で7%改善し、計画的な管路更新事業や長寿命化の取り組みによる効果が出ているものと認識する。次いで、管路更新率は類似団体と比較すると高水準で指標上は優良に見えるが、管路更新を終えるには100年程度かかる計算である。配水管の法定耐用年数は40年であるため、机上の更新率は2.5%が望ましいが、長寿命化に取り組んでいるため、1.5~2.0%程度の更新率を維持できれば比較的安定的なサイクルを保つことができる。なお、H29年度の指標は後退したように読み取れるが、これは浄水場の計装システムへの投資を行ったため、管路への投資が縮小されたものであり、事業全体では適切な投資が行われているものと判断している。

全体総括

短期的に分析すると、北斗市の水道事業は健全に経営されており、効率的且つ低廉に供給できている。一方で、起債依存度が高く、流動比率が低水準であるため、資金繰りに脆弱な一面がみられる。中長期的には、管路更新率が全国平均よりも高水準にあり、計画的に更新事業が行われているものと認識している。それを下支えしているのが黒字経営によるキャッシュの増加であるが、給水収益が減少傾向であるため黒字経営は時限的なものと認識し、更なる効率化を図り、流動比率の改善と適切な投資を行い、安定した経営を目指したい。

類似団体【A5】

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