経営の健全性・効率性について
①経常収支比率については、7月からの料金改定により大きく改善している。③流動比率については、引き続き企業債の借入抑制を行っているため低調である。④企業債残高対給水収益比率については、借入抑制により徐々に改善してきたが、平成29年度ではそれに加えて料金改定による効果で、大きく改善した。しかしながら、依然平均値より高い水準で推移しているため、老朽管の更新を推進しつつも、引き続き企業債の借入を抑制していく必要がある。⑤料金回収率についても料金改定によって大きく改善した。⑥給水原価が平均値に比して低いにもかかわらず、⑤が平均値にとどまっているのは、他団体に比し、料金水準が低く設定されていることが原因と考えられる。⑥給水原価については、本市の水源である良質な地下水が豊富なため、浄水施設が簡素で済むことで、平均値よりかなり低い値となっている。⑦施設利用率については、平均値を下回る結果となっており、長期的には低下することが見込まれるため、施設更新の際には規模の検討を行う必要がある。⑧有収率については、年度毎に変動があるものの、平均値を下回っている状況が続いている。主な原因は漏水と考えられることから、老朽管の更新を着実に推進していく必要がある。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は帳簿価格に対する減価償却累計額を、②管路経年化率は法定耐用年数を超過した管路延長の割合、③管路更新率は当該年度に更新した管路延長の割合を示している。現在の状況としては、①及び②から、大規模拡張期に敷設した管路が経過年数を迎え、老朽化が進行していることが読み取れる。一方③から、1年ごとの管路更新の状況が、ここ数年平均値を上回っているものの、法定耐用年数で管路更新した場合の平均率である2.5%を下回っており、すべての管路を法定耐用年数内に更新するには、ペースが遅いことを示している。
全体総括
現在のところ、収益規模に対する企業債残高がやや高いことを除くと、経営の健全性は保たれている。一方、管路の老朽化は進行しており、現在の更新ペースはやや遅い状況であることを示している。今後、給水人口が減少していく中、施設の老朽化が進むことが想定されている現状を踏まえ、平成28年度には計画期間を10年とする経営計画を策定した。計画では、経営効率化への取り組みを進めるとともに、水道料金を改定し、建設事業費についても近年の約1.6倍に相当する事業量で重要管路から優先的に更新を推進することとしている。今後は経営計画で定めた取り組みを着実に推進しながら、安全で良質な水道水の安定供給に努める。