経営の健全性・効率性について
水道事業は経常収支比率をみると黒字ではありますが、料金回収率は54.05%と給水収益だけでは経費を賄いきれていないため、一般会計補助金で経費を賄っている現状です。また、平成28年度より給水人口が減少傾向にある北部地域の旧簡易水道を統合したことにより、給水収益に比べて企業債残高の割合が大きくなり、企業債残高対給水収益比率が類似団体に比べ高くなっています。しかし、平成29年度と比較すると企業債の借入れを抑制していることから減少傾向にあり、今後も企業債の借り入れの抑制に努める必要が有ります。料金回収率と給水原価を見ると、施設の経費に比べ給水収益の割合が少ない状況であり、1施設に対する給水人口が少ない北部地域の旧簡易水道を統合したことによる維持管理費に対する給水収益の割合の減や、施設の増加に伴う費用の増加が原因と考えられます。そのため、今後1施設に係る経費の削減や水道料金の見直しなどによる給水収益の確保、将来を見据えた施設規模の更新が必要であると考えられます。施設利用率と有収率を見ると、施設利用率は横ばいに対し、料金徴収の対象となった水量の割合が前年に比べて増加しており、配水した水量が有収水量と成る割合が増えてきています。原因としては過去に漏水が多かった箇所の漏水調査を行い漏水修繕に努めた結果であり、今後も漏水箇所の修繕に努める必要が有ります。
老朽化の状況について
類似団体と比較すると、有形固定資産減価償却率、管路経年化率は低いため水道管路の老朽管の割合は低くなっていますが、管路経年化率が増化傾向にある中、管路更新率は年々減少傾向にあります。これは、経常収益が減少する中で、管路経年化率の大幅な上昇を抑えるよう必要最小限の管路更新を行っているためであり、今後も経営状況とのバランスを計りながら、管路の計画的な更新を行っていく必要があります。※本市の平成27年度管路経年化率0.00→2.90管路更新率0.00→1.37に訂正します。
全体総括
独立採算が原則ではありますが、一般会計補助金により経費の一部を賄っているのが現状です。また、給水人口が少ないなか施設を維持している市北部の旧簡水地域を統合したことにより、給水収益に対する維持管理費の割合が増え、さらに人口減少、節水機器の普及などによる給水量の減少により、給水収益の減少が今後さらに進むことが考えられるため、適切な施設の維持管理や施設規模の見直しなどの経費削減、漏水対策による有収率の向上や、料金の見直しなどによる給水収益の向上を図り、計画的かつ効率的な事業運営、経営改善を目指し、安定した水道水の供給に努める必要が有ります。