経営の健全性・効率性について
・経常収支比率は、給水収益の増加、受水費及び企業債支払利息等が減少したことにより1.19ポイント増加した。H25は類似団体平均値に比べ低かったが、H26からは類似団体平均を上回る数値を維持しており、100%を超えていることから経営の健全性は保たれている。・累積欠損金は発生していない。また、流動比率の割合は類似団体平均値より低いが、望ましいとされる200は超えているため、短期的な支払い能力はあるといえる。・企業債残高対給水収益比率は類似団体平均値より高いが、これは企業債に依存し固定資産の更新を早期に実施してきた結果であるが、企業債残高は順調に減少している。・料金回収率は類似団体平均値より高く、100%を超えていることから、経営に必要な経費を水道料金で賄えている状況である。・給水原価は類似団体平均値より高い水準であったが、H29は有収水量の増加、受水費等の減少により類似団体平均値より低い水準となっている。・施設利用率は問題ないと思われる。有収率は、H29急激に減少し類似団体平均値より低い水準となっている。要因とし漏水が疑われるため、有収率向上に向けて対策を検討する必要がある。
老朽化の状況について
・有形固定資産減価償却率は、類似団体平均値より低く推移しているが、年々増加傾向にあり資産の老朽化は進んでいる。・管路経年化率は、類似団体平均値よりも低く、老朽管の更新を早期に実施してきた結果が出ている。・管路更新率は、H27から類似団体平均値より低い水準で推移しており、布設替工事より新設工事の割合が増えている状況である。
全体総括
起債にやや依存して固定資産(管路や浄水施設)の早期更新を実施してきた経緯があり、少なからず財政に影響を及ぼしている。企業債は、近年、超低金利であるため、企業債割合を高め、残高(負債)の減少速度を落としている。また、水道ビジョン(第2次)の策定により、経年管路等の更新計画を見直した。1986年以降に布設した管路は60年、2007年以降に布設した管路は、80年の更新サイクルとした。有収率向上の対策として漏水調査を実施し、効率的な修繕工事を行う必要がある。人口減少や節水意識の高まりによる有収水量の減少や更新費用の増加を考慮すると、現状の料金回収率を維持することが困難になることが想定される。20~30年後に固定資産の大量更新が見込まれるため、数年以内には料金改定を実施し、内部留保資金を増加してていく必要がある。