経営の健全性・効率性について
「①経常収支比率」:経常収支比率は100%を上回っていますが、これは雨水事業における利益が汚水事業における損失を上回り、結果として下水道事業会計全体で黒字となっていることが主な要因であり、より一層経営の合理化や財政基盤の強化が必要です。「③流動比率」:本市は8.33%と類似団体平均値と比較しても極端に低い数値であるため、短期的な債務に対する支払には相当留意する必要があります。流動比率の改善には汚水事業で利益を生み出し、現金を積み立てる等内部留保金を増やす経営への改善が必要です。「④企業債残高対事業規模比率」:類似団体平均値を下回っていますが、今後も健全な経営を行うため、企業債の借入額と償還額とのバランスを考慮し企業債を発行する等、健全な経営に努めていきます。「⑤経費回収率」:経費回収率は100%未満であり、これは汚水処理に要する経費を下水道使用料だけでは賄えきれない状況で、一般会計からの繰入金に依存した経営となっていることを意味しています。更なる経営の効率化による経費節減に努め、「⑥汚水処理原価」の引き下げを図るとともに、適正な使用料について検討を進めていきます。「⑧水洗化率」:本市では早い時期から下水道未普及地域の解消促進や下水道への接続勧奨に努めてきたことから、類似団体平均値と比較して、高い値で推移しています。
老朽化の状況について
「①有形固定資産減価償却率」:類似団体平均値を大きく下回っていますが、これは令和2年度に企業会計に移行した際に資産を新たに取得したものと見なして帳簿価額を決定していることが影響しています。「②管渠老朽化率」:供用開始から40年を超えて老朽化が進んでいる汚水管渠も多く、たわみなどが生じている個所も見受けられることから、機能を維持できるように今後も対策を講じていく必要があります。「③管渠改善率」:管渠の更新や修繕を行った結果、類似団体平均値を上回りました。管渠改善率を大幅に引き上げたうえで更新や修繕を進めていくことは、多額の財源が必要になることから、耐用年数の延伸を図るため、ストックマネジメント計画に基づき計画的・効果的な維持管理に取り組みます。
全体総括
下水道事業の経営基盤の一つである下水道使用料については、人口減少や節水意識の浸透により今後、逓減していくものとと予想しております。一方、下水道施設については、昭和53年6月の供用開始から40年以上が経過し老朽化が進み修繕や更新が必要とする施設が増加します。今後、本市としては、①多賀城市下水道事業経営戦略を中核とした計画に基づき、適正な下水道使用料の検討や更なる経営改善により経営基盤の強化を図るとともに、②ストックマネジメント計画を中心に下水道施設の適切な維持管理と保全を図ることで、適正な下水道サービスの提供を継続するとともに、将来的に大きな課題である下水道施設の大量更新に備えていきます。