経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、100%を超え、健全経営状態を維持しているものの、修繕等などの費用の増加により、低下が懸念されます。②累積欠損金はありません。③流動比率は、100以上を保持しており、健全な経営水準です。④企業債残高対給水収益比率につきましては、621%となっており、類似団体に比べ企業債の残高の割合が多くなっています。平成29年4月より簡易水道事業を上水道に統合することから、簡易水道会計の企業債残高(約12億円)が増えること及び耐震、改良、上水道の一元化により毎年約4億円の借入を予定していることから、起債残高は今後10~15年は、減少幅が少なくなることが予想されます。⑤料金回収率については、類似団体より高く、今のところ料金水準は適正であると言えますが、簡易水道事業との統合後の変化を見守る必要があります。⑥給水原価は、類似団体より低く維持管理の低減化は図られているものの、水道管の老朽化による修繕費の増などにより、年々高くなっている状況です。⑦施設利用率⑧有収率は、類似団体よりも高く、効率的な運営、管理が出来ていると言えます。一方で、今後10年~15年の間に、施設の統廃合や耐震化など大きな建設改良事業が予定されているため、事業費の平準化を図りながら、国庫補助金等の活用などによる財源確保に努めます。さらに、統合前簡水事業の起債元金償還に係る1/2の一般会計繰入金の受入や料金改定の検討など更なる経営の健全化、運営の効率化を図ります。
老朽化の状況について
水道管の耐用年数は、標準的に40年と言われていますが、本市においては、①有形固定資産減価償却率②管路経年変化率、いずれも類似団体と比べるとほぼ変わらない、もしくは高くなっています。よって年々老朽化が進んでいることがわかります。③管路更新率については、簡易水道事業との統合により25年~28年度は、新設の管路布設を優先したため、管路更新率が低くなっていると分析されます。今後は、新設工事との工事の平準化を図りつつ、優先順位により、耐震化を含め、老朽管の更新を図ります。
全体総括
本市の水道事業は、類似団体と比較すると概ね経営・運営状況は良好と判断していますが、老朽化による施設等の更新率や人口減少による給水収益の減少が危惧されるところです。また、平成29年4月からの簡易水道事業との統合により、企業債元金の増加や料金回収率の低下などが懸念されることから、元金償還額以内の企業債借入の徹底による企業債元金残高の減少や、料金改定による収益性の向上を図る必要もあります。一方では、基幹施設の耐震化などにより、災害に強い水道施設の構築を図る必要があります。いずれにしても、建設改良への投資は、健全経営が前提となることから、今後の将来計画となる日南市経営戦略を平成30年度に策定する予定です。