経営の健全性・効率性について
平成28年度末の給水人口が32,600人の水道施設を管理運営している会計で、昭和50年代に整備した水道施設を平成11年から平成28年度までの間、約190億円を投資して計画的に改良・更新を行っている。経営状況については、経常収支比率が過去80%台で推移しており、依然として水道料金収入等で経営に必要な経費(施設の維持管理費等)を賄うことができていない状況である。これは新しい施設の建設に伴う借入金の支払利息及び減価償却費が費用の約7割を占めているためであるが、改良・更新工事も終盤を迎えていることから、改善傾向にあると考えられる。流動比率については386.36%であり、昨年同様支払い能力は保たれており、類似団体平均377.63%と比較してもほぼ同水準である。企業債残高対給水収益比率は過去5年間2,000%台で推移しており、類似団体平均が約360%であるのに対して、大幅に上回っている。これは計画的に、老朽化した施設の改良・更新を行っている結果、投資規模が大きくなっていると言える。施設利用率は近年同水準にあるが、全国平均より低い水準である。今後、施設の耐震化計画・アセットマネジメント等の計画策定に取り組む予定であり、施設の統廃合・ダウンサイジング等について長期的な視点で再検討を行う予定である。有収率については、87.34%で平均値より少し上回っており、昨年に比べても増加している。これは施設の改良・更新により漏水の減少によるものや、大口使用者の使用量増加が影響しているものと思われる。
老朽化の状況について
昨年に引き続き、有形固定資産原価償却率が29.34%と同水準であり、類似団体平均46.90%に比べ大幅に下回っていることから、老朽化した施設が少ないことを表している。これは、平成11年度からの計画的な施設の改良・更新により新しい施設が多いためと考えられる。また、管路経年化率は0.80%で昨年と同じであり、類似団体平均12.03%を大幅に下回っていることから、法定耐用年数を超えた管路は少ないと言える。
全体総括
経営の状況としては、計画的な施設の改良・更新が類似団体よりも進んでいることから、経常収支比率が100%を下回り、累積欠損金を抱え企業債残高対給水収益比率についても類似団体平均と比べ上回っている。経営改善のため、収入については平成19年度から4年ごとに料金の見直しを行っており、平成27年度までに3回の料金改定を行っている。支出については、人件費の削減等経営改善を行なっているが、給水人口の減少等によって水道料金収入が伸び悩んでおり、経営は厳しい状態が続いているため、今後も効率的な経営に努めていく必要がある。また、計画的な施設の改良・更新により、費用の7割を占める借入金の支払利息及び減価償却費の影響で、今後も累積欠損金が発生する見込みであるが、平成29年度をもって川内地区統合簡易水道事業が終了することに伴い、改善に向かう見込みである。