経営の健全性・効率性について
【経常収支比率】H28に大幅に増加した要因は、給水収益において、H27に毎月検針から隔月検針に移行した影響により、H27の1カ月分の収入がH28にずれ込んだことに加え、H27.10月に行った改定率10.0%の料金改定による増収がH27は12月から3月までの4カ月分であったが、H28は通年で反映されたこと等による。全国平均、類団平均を上回っているが、今後は給水人口の減少に伴う水需要の減により、給水収益は右肩下がりで推移すると見込まれる。更新投資等に充てる財源を確保するため、3年に1度料金改定検討委員会を開催し、適正な料金体系を協議する。【累積欠損金比率】該当ないが、今後は給水収益が減少するため、将来の更新投資費用等の財源を試算する経営戦略の早急な策定が必要である。【流動比率】流動資産の現金はH27.10月の料金改定の影響で増加しているが、今後、老朽管の更新(耐震化)事業及び簡水統合に伴う企業債償還が増加する見込みであるため注視していく。【企業債残高対給水収益比率】企業債残高の減少により、全国平均、類団平均を下回っており適正な数値で推移している。しかし、今後は給水収益は減少する一方、更新事業の企業債借り入れにより、企業債残高は増加することが見込まれるため、注視する必要がある。【料金回収率】H28は給水収益の増加により100%を上回ったが、供給単価には給水収益以外の収入(H26から資本費繰入収益の基準外繰入金)が含まれているため、当該繰入金が無くなるH38までに、適正な料金収入を確保すべく前述の料金改定委員会で検討する。【給水原価】費用のうち南予水道企業団からの受水費・減価償却費・人件費の占める割合が大きい。投資の効率化や維持管理費の削減といった経営改善が必要であり、H27から職員の1名減により人件費を削減している。【施設利用率】H25に変更認可を行い、適正な施設規模に見直したことにより、全国平均、類団平均を上回っているが、今後は将来の給水人口減少等を踏まえ、県及び周辺自治体、企業団との広域化・共同化も含め、施設の統廃合やダウンサイジングの検討を行う必要がある。【有収率】H27は漏水調査により234件の漏水を発見、修繕を行ったことにより大幅に増加した。H28も同様に漏水調査を行ったが、件数の減により減少した。今後も日常点検、漏水調査を充実させ、老朽管更新事業等を推進しながら有収率の向上を図っていく。
老朽化の状況について
【有形固定資産減価償却率】保有資産が法定耐用年数に近づいており、全国平均、類団平均を上回っている。管路、施設の更新については、財源の確保や経営に与える影響を分析する必要がある。今後はH29において旧八幡浜地区の簡水の資産統合も影響することが予想され、注視する必要がある。【管路経年化率】全国平均、類団平均を上回っており、今後法定耐用年数を経過した管路を多く保有することになる。また、管路経年化率が高くなっているため管路の更新投資を増やす必要が高いが、全ての管路を更新することは困難であるため、優先順位を定め、基幹管路、主要施設を中心に実施していく。更新について、財源の確保や経営に与える影響を分析する必要がある。【管路更新率】H28から老朽管更新(耐震化)事業の工事に着手したことにより増加したが、現状でも全てを更新するには120年程度を要するため、事業費の平準化を図り、計画的かつ効率的な更新に取り組む必要がある。
全体総括
・有形固定資産減価償却率は一般的に数値が高いほど、法定耐用年数に近い資産が多いことを示しており、将来の施設の更新等の必要性を推測することができる。当市は全国平均を大きく上回っているため、今後も耐震化計画に基づきH37年度を目標とする基幹管路の再構築に向けた耐震化工事を計画的に実施していく(H27開始)。・更新投資等を計画的に行うための財源を確保するため、H27年10月使用分から水道料金の改定(平均10.0%)を行った。以降も適切な料金収入を確保するため検討委員会を3年に1度開催することとしている。・今後は給水人口の減少に伴う水需要の減により、給水収益が減少するため、既に作成済である「八幡浜市水道ビジョン・水道事業整備(耐震化)計画」に「投資・財政計画」を盛り込み、今後10年間にわたる「経営戦略」を作成し、経営基盤の強化を図る。・将来の給水人口の減少等を踏まえ、県及び周辺自治体、企業団との広域化・共同化も見据え、施設の統廃合やダウンサイジングの検討を行う。・市ホームページやfacebookの活用、小中学校への出前授業や水道啓発イベントを開催し、住民に対して啓発活動を行う。・漏水箇所を発見する技術を磨くため各種研修会に参加するとともに、遠隔監視装置による監視を強化し、夜間流量の変化を中心に随時確認を行う。また、漏水調査を実施し、有収率の向上に努める。