経営の健全性・効率性について
経営不振による業務縮小を行っている大口利用者からの給水収益は、ピーク時であった平成17年度と平成28年度を比較すると、約20分の1に減少しており、給水収益の減少に対する対策が当市水道事業における大きな課題であり、その対策として考えられるのが給水原価を低下させることであります。そのため、高額な県営水道の受水量をなるべく抑えて、自己水の占める割合を高めることで給水原価を低下させるとともに、各種事務の効率化や効果的な設備投資を継続的に実施してきた成果もあり、給水原価は減少して料金回収率が向上し、有収率も高い水準で維持ができております。また、平成28年度においては、前年度と同様に経常収支比率や流動比率、料金回収率、有収率についても類似団体の平均値を超えるなど、非常に安定した経営状況であると思われます。
老朽化の状況について
耐用年数を経過した施設及び布設後40年以上経過した管路(老朽管)が多く残っており、大規模漏水や故障が運よく発生していないものの、老朽化はかなり進んでおります。認識してはいるものの更新が先送りとなってしまうことも多く、特に管路の更新については、石綿管の布設替は、ほぼ終了しておりますが、破損率の高い塩化ビニル管が約5.4km残っており、これを中心に管路を更新する予定ですが、施設の更新との兼ね合いにより、全体的な更新率は低い数値となっております。
全体総括
経営状況については、概ね順調であると思えるが、節水用器具の普及や給水人口の減少という全国的な水道事業の抱える問題が、当水道事業においても、今後の健全経営に向けた大きな懸念材料であると考えられます。また、老朽化施設の更新問題に対しては、管路の耐震化を図りながら、更新率2.0%を目標に布設替を進めていく必要があると思われます。なお、浄水施設については、平成30年度に新水道ビジョン(経営戦略を含む)を策定した後に老朽化施設の更新に投資すべきか、それとも一部の施設を廃止して県営水道の受水率を高めるべきかを考慮した上で、安定した経営を維持するためにも、給水原価への影響を含めて検討を慎重に進めていきます。