経営の健全性・効率性について
宍粟市水道事業における給水量の内訳としては給水口径20ミリ以下の生活用水道の利用率が高く、人口減少に伴って有収水量も減少傾向にある。一方で給水区域は広大で、かつ山間部に位置することから、多数の浄水場と配水池を保有する必要があり、多額の減価償却費が発生しており、給水原価が320.39円/㎥と類似団体平均と比べて著しく高くなっている。そのため、近隣市町と比べて高い料金を設定しているにもかかわらず、収支の赤字が続いている。平成26年度には規模の大きな簡易水道事業を統合した(平成25年度有収水量旧上水2,129千㎥に対し旧簡水1,555千㎥)が、簡易水道事業の施設整備においては、その財源の多くに企業債を充当していたことで、企業債残高対給水収益比率も類似団体平均の3.7倍と非常に高い水準となっている。
老朽化の状況について
施設の老朽化はすすんでいるが、管路については比較的新しいものが多く、管路経年化率は低い。給水区域が広大で保有資産も多く、今後その更新に際し莫大な費用を要することととなる。施設と管路の長寿命化、更新に合わせた統廃合やダウンサイジングの検討などにより、更新費用の低減化を図る必要がある。
全体総括
給水区域の地理的要因による資本費の高さが、経常収支比率の悪化を招いているが、今後の有収水量の増加は難しいことから、経営状況はより厳しくなっていくものと考えられる。将来にわたって安定的に経営を継続するため、より一層の費用の抑制を図るとともに、民間委託や広域化について情報収集と検討を進めながら経営の効率化・合理化に取り組む必要がある。料金水準についても、急激な負担増加を避けつつ、近隣団体とのバランスも考慮しながら検討を行い、適切な料金改定を実施することで、収入を確保しなければならない。以上を実施していくことで、平成28年度に策定した経営戦略に掲げている、平成48年度の経営黒字化を実現したい。