経営の健全性・効率性について
「①経常収支比率」と「⑤料金回収率」は、平成26年1月に水道料金を約10%値下げしたことで、一時的に悪化しました。その後は、工場での使用水量が増加する等、収益の柱である給水収益が堅調に推移していることから、比率は緩やかに改善しています。「⑧有収率」は、近年、計画的に漏水調査、修繕を実施したことから大幅に改善しています(平成28年度92.9%)。また、兵庫県や市川町から受け入れている水道水の購入単価が下がり、受水費を削減できたことが、「⑥給水原価」の改善につながりました。「④企業債残高対給水収益比率」は類似団体を大きく下回っています。これは、これまで建設事業に伴う企業債の発行額が少なかったことによるものです。今後は、水道施設の老朽化に伴う施設更新には多額な資金が必要となるため、企業債の発行や更新費用の平準化等を行い計画的に施設更新をしていくこととしています。「②累積欠損金比率」「③流動比率」共に類似団体平均と比較しても悪い数値ではありませんが、今後は、水需要減少による給水収益の悪化や施設の更新需要の増大により、比率は徐々に悪化していくことが予想されます。
老朽化の状況について
「①有形固定資産減価償却率」「②管路経年化率」共に類似団体平均を下回っています。これは、固定資産の減価償却が進んでいないことを示しており、他団体に比べて老朽施設が少ないこと、施設の更新が進んでいることがわかります。しかし、市内にはまだ塩化ビニル管などの非耐震管が残っていることから、優先的に耐震管への更新を行っていきます。施設の更新については、平成28年度に策定したアセットマネジメント(施設の更新計画)に基づいて、優先順位の高い施設から順次計画的に更新を行うとともに、費用が一時期に集中しないように平準化を図りながら行うことにしています。
全体総括
水道事業を取り巻く環境は、人口減少や節水意識の向上により厳しさを増しています。また、老朽化した施設が耐用年数を迎えることから、施設の更新、耐震化が今後の課題となっています。しかし、市内全域にある施設の更新、耐震化には多額の資金が必要となります。収益の大幅な増加は見込めないことから、施設をこれからの人口に見合った規模にダウンサイジング(統廃合)し、維持管理費などの経常経費を削減することで、財源の確保を図っていく必要があります。平成28年度に策定した加西市水道事業ビジョンや経営戦略に基づいて、なお一層、経営の効率化を図っていきます。