経営の健全性・効率性について
経営の健全性・効率性を表す指標が、前年度と比較すると概ね改善しています。経常収支比率(①)は100%を超えています(=単年度で黒字)が、累積欠損金(累積赤字)がある状況(②)です。これは前年度に簡易水道事業との統合により累積欠損を引継いだことによりますが、今後減少していく計画(後述)です。給水にかかる費用がどの程度料金収入で賄えているかを示す料金回収率(⑤)は100%を下回っていますが、単年度収支は黒字であり、一般会計からの赤字補てんも受けておらず、今後改善していく計画です。給水原価(⑥)は下がる傾向にあるものの、類似団体や全国平均と比較すると25%~30%程度高くなっています。今後も水需要の減少により料金収入が減少する一方、施設の老朽化による更新・維持管理費用の増大が見込まれ経営が困難になります。また、本市の水道料金は県内で比較しても高水準にあり、これ以上の使用者負担を求められない状況にもあります。このような中、水需要の変化等に応じた事業展開を行っていくため、平成29年1月に「水道事業経営戦略」を策定し、持続可能な経営を目指しています。○西脇市水道事業経営戦略の概要(1)基幹病院や指定避難所を重要給水施設と位置付け、重要給水施設へと繋がる配水管から更新を進める。管路更新の優先順位をつける。(2)管路更新年数の設定を法定耐用年数から実使用年数に変更。年平均5.4億円の事業費を年平均3.1億円に圧縮する。(3)耐震性能を有する低コスト耐震管を採用し、工法の見直しを行う。(4)水需要を見直し、8浄水場整備計画を4浄水場整備計画に改め、スリムな整備計画を実施する。以上4点の計画を実施することにより、維持管理経費を削減し、平成35年度に累積欠損金の解消、20年後の流動比率400%、料金回収率100%、企業債残高対給水収益比率300%以内を目標指標として設定しています。
老朽化の状況について
管路経年化率は前年に比べわずかに下がっているものの、管路の老朽化が進行している状況です。管路の更新は不可欠ですが、法定耐用年数に合わせて行っていくと、水道事業の経営に大きな負担がかかります。上述の「水道事業経営戦略」のとおり、基幹病院や指定避難所を重要給水施設として位置付け、最優先に重要給水施設への管路更新(耐震化)、管路更新時期の延伸化による事業費の削減等を計画しています。平成22年度より国庫補助事業の採択を受け、老朽管路更新事業を行っており、基幹管路より随時、整備を進めます。
全体総括
平成28年度までに浄水場整備や簡易水道事業の統合が完了し、平成29年度からは上述の「水道事業経営戦略」にそった老朽施設の更新とスリムな整備計画に取組みます。平成29年度から平成30年度にかけて、基幹水道施設である「春日浄水場」の廃止に向けて取り組みます。廃止に伴う資産減耗費を特別損失として計上するため、累積欠損金が5億円まで膨らむと想定しています。しかし、翌年度からは費用節減効果が表れ、平成35年度に累積欠損金が解消されると見込んでおります。また、老朽管路の更新が集中する時期を20年後と見込んでおり、更新に係る財源を確保するため、老朽管の更新順位の設定や更新時期の延伸化など、年間工事費を4億円以下に設定しました。「水道事業経営戦略」では、経営の見える化、数値化に重点を置き、毎年度進捗管理を行い、5年に一度を目安として見直しを行います。