経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、共同住宅等の建築に伴い給水戸数が前年度と比較して377戸増加したことによる給水収益の増加及び、職員人事異動に伴う人件費等の経常費用減少により、H28年度は116.73%と類似団体の平均を上回った結果となった。収益も給水収益がメインであり、他のものに依存しておらず、収益の一部は、施設更新費用として積み立てている。②累積欠損金比率は例年0%であり、剰余金もあるため欠損金が発生することはないと考える。③流動比率は、年度末の工事竣工件数が多く未払金が増加したことにより前年度より比率が下がったが、現金預金は増加している。比率は500%を超えており、流動資産を現金化した場合、流動負債を支払える能力がある。④企業債残高対給水収益比率は、企業債残高が残り少ないため50%以下に収まっており、給水収益が負債を上回っている。⑤料金回収率は、H25年度以前は100%を下回りこそしたものの、97%以下にはなっておらず、H26年度以降は100%を超えている。⑥給水原価は、平均値に比べ少額で安定している。⑦施設利用率は、平均値に比べ10ポイント以上高くなっており、施設の能力を効率的に利用できている。⑧有収率については、平均値に比べ5ポイント以上高く、配水の無駄が少ないといえる。よって岩倉市水道事業の経営は健全、効率的と評価できる。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率及び②管路経年化率については平均値を上回っており、他市に比べて老朽化が進んでいるといえる。③管路更新率はH26年度及びH27年度は平均値を上回っていたが、H28年度については、公共下水道工事に伴う水道管の布設替え工事件数が減少したことにより管路更新率が下がった結果となっている。基幹管路及び基幹管路以外の配水管については、事業計画に沿って着実に工事を実施しているところであり、今後も③管路更新率を向上し、①有形固定資産減価償却率及び②管路経年化率の低下に努める。
全体総括
1.経営の健全性・効率性における①経常収支比率と⑤料金回収率はともに高く、収益を水道料金で賄えている。また、⑦施設利用率・⑧有収率も高く、施設能力を十分に活用し収益につなげていることから健全で効率的な経営をしていると判断する。一方、2.老朽化の状況における①有形固定資産減価償却率や②管路経年化率が示すように老朽化資産が多く、③管路更新率も平均より低い状態となっている。この状態を解消し、継続して平均値を上回るためには、水道料金の値上げや資金調達方法等の検討をする必要がある。なお、経営戦略についてはH32年度までに策定する予定としている。