経営の健全性・効率性について
近年は地方債残高が減少傾向にあり、それに伴い償還金額も減少傾向にある。また、総費用及び使用料収益はほぼ横ばいか僅かながら減少傾向にある。しかしながら収益的収支比率が年々減少傾向にあることは、一般会計からの繰入金が年々減額されていることに起因している。これは、下水道事業会計が一般会計繰入金に大きく依存していることを示している。施設利用率は類似団体平均値を下回っており、50%にも届いていない。これは現時点においても事業計画区域に含まれていない全体計画区域面積が全体計画面積の30%近くあること。当初の計画段階においては人口が増加するものとして設計がなされていたことなどから、施設規模が過大となっているため、このような施設利用率に留まっている。水洗化率も類似団体平均値と比して15ポイント程度下回っており、使用料収益が伸び悩んでいる一因であるとともに、管渠整備等に投じた費用の回収ができず、非効率的な経営となっている。
老朽化の状況について
管渠老朽化率等は数値化されていないが、本市下水道事業は昭和49年より事業が開始されたため、初期に布設された管渠は布設後40年以上を経過しており、間もなく耐用年数を経過する。管渠更新及び老朽化対策については、類似団体平均値も低い水準に留まっているものの、本市では更新実績はなく、施設及び設備の老朽化対策の実施に留まっている。今後の管渠の耐用年数経過に備え、実施計画等を策定する必要があると考えられる。なお、主要な管渠において腐食する恐れの大きい箇所については、改正下水道法に基づき、今後新たに策定する事業計画において、点検の方法及び頻度を定める。
全体総括
今後の課題としては管渠の老朽化への対応があげられるが、それ以前の課題として一般会計繰入金への過度な依存を解消することが重要である。そのためには、使用料の増収が必要不可欠であることから、類似団体平均値を大きく下回っている水洗化率の向上による有収水量及び使用料収益の増大が求められる。しかしながら、水洗化率を向上させるには長期間未接続状態にある世帯の接続が重要であるため、そのような世帯への接続推進活動をより強めることや、起爆剤となるような施策を講じる必要があると思われる。また、費用の面としては施設が過大となっていることによる維持管理費の無駄もあると考えられるため、施設規模の縮減等による維持管理費の削減等も検討をしていく必要がある。