経営の健全性・効率性について
当市は令和2年度より法適用したため、各数値は令和2年度以降のものだけ記載されている。経常収支比率についてみると、100%は超えているが、これは一般会計からの繰入金によるものが大きい。経費回収率については令和2年度より3年度の方が減少しており、これから先、回収のための努力とともに、さらなる経費の削減や料金改定の検討も必要と思われる。企業債残高対事業規模比率については、毎年の償還により法適化前から引き続き減少しているが、今後ストックマネジメント事業に伴う新規起債が予定されているため、それ以後同様の規模での減少は見込めない。施設利用率については、類似団体平均を超えているものの、30%程度の余力がある状態であり、2年度より3年度の方が若干減少した。また、水洗化率は類似団体の平均値を上回るが、全国平均には及ばず、整備区域を広げる予定のない現在、下水道未接続の建物へ啓発を続けていくことで水洗化率を引き上げていく努力が必要である。市街地の公共下水道整備は概ね終了しており、今後大幅な供用開始区域の拡大は当分の間予定していないため、これら経営指標の数値改善のためには水洗化率の更なる向上、効率的な経営による費用の抑制と同時に、適切な使用料の設定も必要と思われる。
老朽化の状況について
本市の公共下水道事業は平成10年の供用開始からの経過年数が24年であり、耐用年数が50年の管渠については、老朽化対策が必要な段階には至っていないため、管渠改善率は0%である。一方、処理場の施設・設備については耐用年数が概ね20年であり、実際に浄化センターの主要部分について経年的劣化、それによる処理機能の低下が認められる。このため、事故の未然防止及びライフサイクルコストの最小限化を図って平成27年度から令和2年度まで長寿命化事業を実施し、その後はストックマネジメント事業を実施することで、施設の更新等を随時行っていく予定である。
全体総括
供用開始からの年数としては長い方ではないが、処理場施設設備については既に長寿命化、更新等が必要な段階に入っており、それらの対策を進めている。将来的な管渠の老朽化も見据えて、事業を進めていかなければならない。令和2年度から地方公営企業法を適用しており、今後財政状況を明確にした上で、適正な使用料の検討をしていく。また、長寿命化のための設備更新等における高効率機器の導入をはじめとする、経費の削減による汚水処理原価の抑制を図る。さらに、未接続世帯へのより一層の下水道普及促進により、水洗化率の向上を図る。