経営の健全性・効率性について
本事業は資本費が膨大で、地方債償還金とその支払利子が歳出の大部分を占めており、経営は元利償還金と使用料収入、一般会計繰入金に大きく左右される。収益的収支比率は前年度を下回ったが、これはストックマネジメント実施方針策定委託料等の営業費用の増加によるものである。今後も総費用削減に努め、比率の改善を目指していく必要がある。企業債残高対事業規模比率は類似団体と比較して高い状態である。平成20年度以降整備事業を休止しており、地方債残高は減少する見込みであるため、長期的に見れば減少していく見込みである。経費回収率は、使用料収入は増加したものの、維持管理費が増加したため昨年を下回った。下水道使用料水準は近隣自治体と概ね同程度であり大幅な値上げは困難であるため、類似団体平均を下回る状態が続くと推察される。汚水処理原価については、有収水量の減少により、昨年度を上回った。今後の有収水量は、人口減少等により長期的には減少見込みであることから、汚水処理原価は高めに推移する見込みである。水洗化率については、類似団体平均を下回っているため、さらなる接続推進を図る必要がある。
老朽化の状況について
現在、法定耐用年数を経過した管渠を所有していないため、積極的な改築更新を実施していない。平成23年度から毎年度管渠内カメラ調査を実施しており、調査の結果判明した不良箇所については、随時補修を実施している。ただし、主として不明水対策や日常の維持管理の一環として事業を実施しているものであり、計上している延長については、更生・改築実施延長ではなく、不良箇所の部分補修を実施したスパン延長である。
全体総括
効率的な汚水処理のため、農業集落排水の1処理区を平成30年4月1日に、さらにもう1処理区を平成31年4月1日に公共下水道へ編入した。残り2処理区についても編入の検討を進め、さらなる安定的な経営を図っていく。また、持続的な機能確保と改築事業の平準化を図るため、ポンプ場施設のストックマネジメント実施方針を策定した。今後これに基づいた基本計画を定め、計画的な改築等を進める。管渠についても、具体的な改築等の必要が生じた際には改築実施計画を策定していく。