経営の健全性・効率性について
・経常収支比率は、令和2年度については、収益認識に関する会計基準の変更により、令和2年度に限り料金収入や給水量が例年と比べ1ヶ月分多く計上されている。なお、12ヶ月に換算すると113.11%となるが、今年度は更に減少する結果となった。これは、流域下水道の負担金の増大や原料費高騰にともなう動力費の上昇によるものであり、今後もこの状況が続くことが見込まる。・累積欠損金比率は、平成30年度で累積欠損金が解消され、健全な経営状況となっている。・流動比率は、平成26年度の会計制度改正により流動負債に企業債償還費を計上することとなり、多くなっているが、交付税措置される企業債が含まれることや、企業債残高が年々減少していることから、直ちに健全性が損なわれているとはいえない。・企業債残高対事業規模比率は、過去の整備に係る企業債残高が大きいため、単年度収益に対する企業債残高が大きくなっているが、類似団体との比較では企業債残高が低いことを示している。・経費回収率は、使用料が経費を上回り、処理費用を回収できている。また、類似団体平均を上回っており、使用料設定が適切であることを示している。・汚水処理原価は、整備がほぼ完了し接続率も高率となっており、経年で平均的である。現在は類似団体平均を下回っているが、今後、一般会計負担金の減少に伴い、処理原価の上昇が見込まれる。・施設利用率は、県の流域下水道で処理していることから、市営の処理施設はなく、本指標の対象とならない。
老朽化の状況について
・有形固定資産減価償却率は、整備がほぼ完了し、区域拡張に係る大きな投資はないため、償却が進んでいくことによる逓増傾向にある。・管渠は、老朽化による更新の時期となっていないが、中越大震災や豪雪地の特性による損傷が一部で見られ、維持管理の中で必要な修繕や更新を実施する必要がある。また、不明水が多くなっており、引き続き箇所の特定とその対応が必要となっている。・管渠改善率は、中越大震災で被災した管渠の復旧のために管渠更新や更正、処理区の接続等へ投資したことにより、その後、改善が必要な管渠が無い状況が続いている。
全体総括
・整備はほぼ完了しており、事業は施設設備の維持管理が主な業務となっている。・事業に要する費用は、使用料収入や一般会計からの繰入金(企業債償還の交付税措置等)等で賄われており、概ね健全な経営状況といえる。水洗化率が100%に近く新たな接続が見込めないため、今後は人口減少や節水志向等の影響を直に受け、使用料収入の減少が見込まれる。・山間地という地域性から、特環・集排等の処理施設が多数存在しているが、今後は単なる施設更新ではなく集排の公共接続も含め、統廃合やダウンサイジングを加速させる方向である。・平成28年度に策定した「魚沼市下水道事業経営戦略」の進捗管理や計画見直しを行いながら、経営の質と効率化を高め、市民サービスの安定的な継続が図られるよう運営するものとする。