経営の健全性・効率性について
平成30年度は、大口使用者の下水道使用量が一時的に大幅に減少したため下水道使用料収入が減少し、経常赤字を計上することとなったが、令和元年度以降は、下水道使用量が一定回復し、下水道使用料収入が増収となったため、再び経常黒字を計上することができた。また、令和3年度は有収水量の増加に伴う営業収益の増加及び下水道維持管理負担金の減少等による費用の減少により経常収支比率は117.87%と前年度比5.05ポイント増となった。上記に伴い、流動比率についても、148.91%と大幅に増加していることから支払能力が充足していることが分かる。企業債残高対事業規模比率については、257.94%となっており、本町では下水道整備が概ね完了していることから、今後も減少傾向となる見込みである。経費回収率は、103.19%と100%を超えており、使用料収入で経費が賄えている状況である。汚水処理原価は、121.31円/㎡と、全国平均値や類似団体平均値と比較して良好な値となっている。水洗化率については、93.57%と類似団体平均値と比べ高水準となっているが、引き続き水質保全や使用料収入の増加を目指し、水洗化率の向上に努める。
老朽化の状況について
本町下水道事業は、平成29年度に地方公営企業法を適用しているため、有形固定資産減価償却率は低い数値となっているが、増加傾向にある。また、平成元年度から供用を開始しており経過年月が浅いため、老朽化が直ぐに問題となるような状況ではないが、一部、供用開始以前に民間開発により敷設されたものを本町で引き受けたものが標準耐用年数の50年を経過しており、令和3年度には、管渠老朽化率が3.28%となっている。今後は、ストックマネジメント計画(平成30年度策定)及び下水道ビジョン(令和4年度策定)に基づき、適切な維持管理を行い、計画的かつ効率的な修繕改築を進めていく。
全体総括
令和3年度は、前年度に引き続き経常黒字を計上することができ、また、経費回収率についても100%を超えることができた。しかしながら、今後、人口減少や節水機器のさらなる普及、機能向上により有収水量の減少、使用料収入の減少が見込まれることから、下水道事業の経営環境は厳しくなることが予想される。本町下水道事業は、平成元年度から供用を開始しているため、管渠の老朽化については直ちに問題となる状況ではないが、今後、長期的に計画的かつ効率的な修繕改築を進めるためには、その財源が必要となる。この財源の確保について、下水道ビジョンに記載のとおり、まずは本町の公費負担のあり方を見直し、企業債に過度に依存することなく、事業経営を持続するために必要な資金残高を確保することで、下水道事業経営の健全化を図る。