経営の健全性・効率性について
収益的収支比率は、修繕等の維持管理費の増加や公営企業会計移行関連業務によって大きく減少し、令和6年度の会計移行まで同様の状況が見込まれる。単年度赤字の状況が続いており、収支均衡に向けた改善を進めていく必要がある。企業債残高対事業規模比率は、大部分が一般会計負担額のため、類似団体と比べて低い率になっている。今後もストックマネジメント計画に基づいて事業費の平準化を図りながら必要な更新を進め、後年度負担を考慮して借入を極力抑える。経費回収率は類似団体と比べて低い水準で、維持管理費等に比例して減少した。汚水処理原価も同様で、右肩下がりの類似団体と比べても高額になっている。使用料収入は微減で、今後も人口に比例した有収水量の減少が見込まれることから、水洗化率の向上に取り組むとともに、使用料の見直しが必要である。併せて、設備更新時のダウンサイジング等により類似団体と同水準を目標に経費削減を進め、経営改善に取り組んでいく。施設利用率は微減、水洗化率は微増となっており、ともに類似団体を下回っている。地理的に管路の延長は困難であり、高い水洗化率が見込めない状況では経営的にも過剰投資となる。引き続き、現在の処理区域における水洗化率の向上について、現行の啓蒙普及と併せて新たな取組みも検討して進める必要がある。
老朽化の状況について
平成11年の供用開始から23年を経過している。現時点では管渠の更新の必要はないが、計画的な更新について検討する必要がある。終末処理場等については、ストックマネジメント計画に基づく更新を進めている。
全体総括
当町の経営指標は、大部分が類似団体と比較して低く、維持管理費を含む汚水処理費を使用料収入で賄えない状況が続いている。供用開始以来、使用料の見直しを行っておらず、適正な使用料収入が確保できるよう改定をする必要がある。改定に当たっては、令和6年度の公営企業会計移行に向けた準備の中で明らかになる固定資産などの状況を踏まえて経営状況の詳細な分析を行い、汚水処理費の削減に取り組むとともに、関係者に対して十分な説明をして理解を得る必要がある。これらの取組みを進め、公営企業として持続可能な事業運営に努めていく。