経営の健全性・効率性について
本市の公共下水道事業は、令和2年度から地方公営企業法の一部を適用し、公営企業会計に移行していますので、2か年度分となっています。①経常収支比率は100%を超えていますが、一般会計繰入金が経常収益の65.0%を占めており、今後、経営基盤の安定化に向け、使用料収入の確保に努めます。②累積欠損金比率は、63.1%で前年度から減少しているものの、依然として類似団体平均値を上回っており、将来的にも0%を目指す必要があることから、引き続き経営改善による健全化を図っていきます。③流動比率は、10.3%で類似団体平均値を大きく下回っています。これは、流動負債の企業債償還金が流動資産(現金)を大きく上回っているためで、今後は長期的な計画のもと、改善を図っていかなければなりません。④企業債の償還は、一般会計繰入金により賄っているので、当該値は算出されません。⑤経費回収率は、使用料単価(137円/㎥)が汚水処理単価(219円/㎥)を大きく下回っており、汚水処理費が使用料収入で賄えていません。今後、下水道使用料や汚水処理費の見直しに向け検討を行う必要があります。⑥汚水処理原価は、類似団体平均値を上回っています。流域下水道により県が管理する汚水処理場を利用しているので、適正な単価に向け維持管理費の削減や接続率向上による有収水量の増加等を踏まえ、構成市町と共に協議を継続していきます。⑦流域下水道により、県が管理する汚水処理場を利用しているので該当しません。⑧水洗化率は、60.0%で類似団体平均値を大きく下回っています。整備済区域内の合併浄化槽が多いことが一つの要因となっています。今後は、安定的な収入の確保やSDGs等の観点からも一層の普及活動に取り組んでいきます。
老朽化の状況について
本市では平成5年度に事業開始し、平成16年度より順次供用を開始しています。布設から30年以上経過した管渠等は無く、比較的新しい施設であるため、現時点で、管渠における老朽化対策は行っていませんが、マンホールポンプ施設については、耐用年数を考慮し、随時更新を実施しています。今後はストックマネジメント計画等の策定を検討し、投資の平準化を図る必要があります。①有形固定資産減価償却率は、4.97%(記載漏れ)であり類似団体平均値を大幅に下回っています。今後は減価償却を重ねていくことにより増加していきます。②と③は、法定耐用年数を超えた管渠および更新した管渠が無いので該当しません。
全体総括
令和2年度から地方公営企業法の一部を適用し、公営企業会計に移行したことにより、事業の経営や財政状況がより明確になりました。現状では、維持管理費を使用料収入で賄えておらず、一般会計からの繰入金に依存していることから、経営の健全化に向けた取組みが不可欠となります。令和4年度には、「都留市下水道事業経営戦略」を策定し、中長期的ビジョンで経営の改善に取り組み、将来にわたって持続可能な下水道事業を推進するとともに、流域下水道構成市町をはじめとする近隣市町村との広域化・共同化への動きを注視し、業務の更なる効率化を検討していきます。